
【連載】季節の不調を整える“日常”薬膳
2026.06.16
国際中医薬膳師・フードコーディネーター:いのうえ陽子
猛暑に負けない体をつくる夏の「薬膳カレー」レシピ
なじみのある食材で季節の体調不良を整える「日常薬膳」。連載3回目は夏バテを防ぐメニューを、国際中医薬膳師のいのうえ陽子(いのうえ・ようこ)さんに教えていただきます。スパイスをふんだんに使った薬膳カレーで、猛暑を乗り切りましょう!
写真:キッチンミノル
目次
夏の体に必要なものとは?
今年の夏も猛暑が予想されています。食養生で暑さを乗り切るにはどんなことに気をつけたらいいのでしょうか。さらっと食べやすい薬膳カレーのレシピをいのうえさんに教えていただきます。
夏は汗をかくことで気・血・水*が同時に失われるため、血流やエネルギーが不足し、五臓の中でもっとも大切な「心(しん)」に負担がかかりやすくなります。血液を全身に運び、精神・意識をコントロールする働きのある「心」が弱ると、不眠、イライラ、口内炎、不安感、動悸、息切れといった症状が起こりやすくなります。さらに激しい暑さで気を消耗したり、冷たいものの摂りすぎで内臓が冷えたりすると、夏バテ、夏冷えといった体調不良につながります。
*気・血・水:中医学では気(エネルギー)、血(血液)、水(体液全般)の3つのバランスと巡りが整っていることを健康と考える。
また、蒸し暑い日本の夏は「暑邪(しょじゃ)」と「湿邪(しつじゃ)」があると中医学では考えます。暑さによる邪気である暑邪は「心」に負担をかけ、気が不足し、「脾(ひ)」の消化機能にも影響します。同時に、湿気による邪気である湿邪は、「脾」の働きを鈍くします。消化吸収や栄養の運搬を担う「脾」が弱ると消化不良、食欲不振、重だるさといった症状が出て、これが進むと夏バテにつながります。
夏バテを防ぎ、健やかに過ごすためにはどんな食材を選んだらよいのでしょうか。
●「心」をサポートする食材を選ぶ
「心」をサポートする「赤」の食材、体にこもった余分な熱をとる「暑邪を払う」食材、体内の水はけをよくする「湿邪を払う」食材に加えて、気・血・水を補う食材を取り入れるのがおすすめです。
・赤の食材
トマト、すいか、小豆、干なつめ、クコの実など
・暑邪を払う食材
トマト、すいか、きゅうり、レタス、なす、冬瓜、緑豆もやし、ゴーヤ、はとむぎ、そば、緑茶など
・湿邪を払う食材
すいか、はとむぎ、とうもろこし、いんげん豆、小豆、枝豆、緑豆もやし、そら豆、きゅうり、なす、舞茸、サバ、カルダモン、ターメリック、山椒、唐辛子、緑茶など
・気を補う食材
穀物類、大豆、納豆、枝豆、そら豆、山芋、オクラ、かぶ、かぼちゃ、しいたけ、しめじ、舞茸、モロヘイヤ、干なつめ、ぶどう、イワシ、カツオ、鮭、サバ、牛肉、鶏肉、豚肉など
・水を補う食材
トマト、オクラ、豚肉、キウイフルーツ、豆腐、牛乳、ヨーグルトなど
●「脾」をサポートする食材を選ぶ
「脾」は、飲食物を消化吸収し、気や血、水を作り出します。「脾」が弱ると食欲不振、むくみ、食後の眠気といった不調が起こります。消化のよい食材を選んで、消化によい温かい調理法にするのがおすすめです。
うるち米、黒米、玄米、米麹、はとむぎ、ひえ、ひよこ豆、えんどう豆、オクラ、かぼちゃ、カリフラワー、ブロッコリー、小松菜、そら豆、にんじん、マッシュルーム、干なつめ、鮭、サバ、鯛、牛肉、羊肉、鶏の砂肝、豚レバー、鶏卵、はちみつ、味噌、パクチー、ナツメグ、クミンなど
●冷え対策の食材を選ぶ
冷房が効いた部屋で過ごしたり、冷たい飲み物や食べ物を摂りすぎてしまったりと、夏は意外と体を冷やしてしまいます。冷えを予防する食材を一緒に摂るのがおすすめです。
玉ねぎ、しょうが、シナモン、にんにく、こしょう、山椒など
※太字は今回のレシピで使用する食材です。
夏の薬膳レシピ|もやしとミニトマトのキーマカレー
夏の養生食材として定番の緑豆は、日本では少し手に入りづらいので、食卓でおなじみの緑豆もやしを具材に選びました。カレーの辛さを担う唐辛子は体を温める力が非常に強いため、暑さが苦手な「心」に大きな負担をかけてしまいます。また、その強い刺激が「脾」にもダメージを与え、消化機能が落ちると考えます。そのため、このレシピでは唐辛子を使用せず、代わりにクミンシードやターメリックなどのスパイスをふんだんに使います。スパイスの豊かな香りは気を巡らせ、穏やかに体を温めてくれます。滋味深く、やさしい味わいの薬膳カレーです。
ホールスパイスとパウダースパイスはタイミングを分けて使います
材料(2人分)
・豚ひき肉...300g
・もやし(緑豆)...150g
・ミニトマト...100g
・玉ねぎ...200g
・しょうが...1片
・にんにく...2片
・プレーンヨーグルト...大さじ3
・黒こしょう...適量
・ガラムマサラ...小さじ1
・米油...大さじ3
▼A
・クミンシード...小さじ2
・コリアンダーシード...小さじ1
・カルダモンホール...4粒
・シナモンスティック...1本
▼B
・ナツメグ(パウダー)...小さじ1
・ターメリック(パウダー)...小さじ1
・塩...小さじ1
作り方
- 玉ねぎはみじん切り、もやしは粗みじん切りにします。しょうがは皮付きのまま、にんにくは芯を除いてみじん切りにします。ミニトマトは4等分にし、ボウルに入れて塩少々(分量外)をまぶしておきます。
- フライパンに米油、A(シナモンは2つに割る)を入れて、弱火で2分ほど加熱します。

- スパイスの周りがフツフツしてきたら、玉ねぎを加えて中火にし、7分ほど炒めます。にんにく、しょうがを加えて香りがたったら、Bを加え、粉っぽさがなくなるまでしっかり炒めます。

- 豚ひき肉を加えて色が変わるまで炒めます。

- ミニトマト(出てきた汁も含む)、もやし、プレーンヨーグルト、水50ml(分量外)を加えて、木べらでミニトマトを潰しながら3分ほど強火で加熱します。

- 黒こしょう、ガラムマサラを加えて混ぜます。

おすすめのごはんとトッピングは?
ごはんは、夏にぴったりの薬膳食材が豊富に含まれる雑穀米がおすすめです。トッピングは、養生効果はもちろん、香りや食感の違いが楽しめる玉ねぎマリネ、パクチー、フライドオニオンはいかがでしょうか。
| ごはん | 雑穀米(はとむぎ、とうもろこし、小豆、ひえ、大豆が配合されているものがおすすめ |
|---|---|
| トッピング | 玉ねぎマリネ* パクチー 市販のフライドオニオン |
材料:紫玉ねぎ100g、塩小さじ1/4、はちみつ小さじ1、米酢大さじ1
作り方:紫玉ねぎは薄切りにし、塩と合わせて15分ほど置きます。紫玉ねぎをさっと洗い水分を絞って、はちみつ、米酢と合わせます。
※記事の情報は2026年6月16日時点のものです。
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【PROFILE】
いのうえ陽子(いのうえ・ようこ)
国際中医薬膳師・フードコーディネーター
大手料理教室で講師をした後、祐成陽子クッキングアートセミナーでアシスタントを務める。現在はフードコーディネーターとして、レシピ開発、スタイリングに携わる。
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