【連載】流転のパラダイス人生
2019.12.25
パラダイス山元
クリスマス当日!!
あるときはマンボミュージシャン、あるときはカーデザイナー、そしてあるときは餃子レストランのオーナーシェフ、またあるときはマン盆栽家元、さらにグリーンランド国際サンタクロース協会の公認サンタクロース、入浴剤ソムリエ、飛行機のプロ搭乗客?......。あらゆるジャンルを跨ぎながら、人生を遊び尽くす「現代の粋人」パラダイス山元さんに「遊びの発想の素」を教えてもらいましょう!
話題沸騰のミュージカルに出演
歳を重ねるごとに、つくづく感じるのは、気がついたらいつの間にか時間が経過してしまっているということ。日々の暮らしでも、ちょっと振り返ってこのひと月、この一年でも、えっ、一体何をしていたの?と自問自答したくなるほど、時空がねじれたのではないかというほど急加速しているのに気がついてはため息を漏らしています。小学校の2年生、3年生くらいの時が、一年が一番長かったように思えるのは私だけなのかしら。
そんなに無駄な時間を過ごしてきた訳でもなかったはずなのに、今さらどうしようと、毎年12月になると決まってクリスマスはやってきます。みなさんがフツーに考える、楽しいクリスマス! というのと、私の場合はだいぶ状況が違います。切迫感というか、こんなにスケジュールをパンパンに入れてしまって大丈夫なのか、自分?と毎日が不安で仕方がありません。一旦入れてしまったスケジュールは、日々淡々とこなす以外、どうすることもできません。思考停止になってしまっても、体力の限界まで寝ないで行動していると、実は何かが見えてくることが起こります。
施設や病院を訪問したり、もう忙しくて忙しくて、毎日の終わりにはフラフラになってしまう12月あたまに、ミュージカルに出演しました。
ミュージカルがとても苦手なこの私が。
しかも、あの堀江貴文さんが主演という、もうツッコミどころ満載、話題の舞台の再演にゲスト出演しました。
堀江さんが、数ヶ月前に、蔓餃苑に餃子を食べにいらっしゃった際、帰りがけに
「今年も出てもらえます?」
「あっ、ハイ!」
と、なんとも軽いノリで引き受けてしまいました。
そもそも、なんであのホリエモンが自ら主演で、守銭奴スクルージ役を、しかもほとんどサンタクロースの格好で演じているのかは、長くなるのでここでは触れません。
肯定、否定、さまざまな評価の堀江貴文さんから、昨年、直々にオファーがあった際、かなり躊躇したのは事実です。だって、公認サンタクロースとして共演ということは、穿った見方をされるのを覚悟しなければなりませんし、そもそも遊びでサンタクロースをやっている訳ではありませんから、ミュージカルに出て、自分の評価が下がるものなら、お引き受けしかねるのは当然でしょうと。
数年前、「蔓餃苑に餃子食べに行きたいんですが」と、唐突にツイートされたのがそもそものはじまりでした。完全な餃子繋がり。堀江さんの周りの方が大勢、蔓餃苑にいらしているにも関わらず、ご本人だけが未訪問だったということなのですが、そういう時って、直接の面識がなければ、その誰かを介して依頼したりするのが常識だと思っていたら、堀江さんは違いました。
ロケット発射したり、世の中の常識と思われていたことを、まるでちゃぶ台返しするかのような痛快な本もたくさん書かれている堀江さんに、私が最初に共感したのは、親や血縁の否定でした。
公認サンタクロースだというのに、そんな身もふたもないことを・・・と思われるかもしれませんが、私が今のように他人から見るとまるで節操のない、なにもかもに手を出してと思われることの発端になったのは、親からの全否定でした。
今でこそ、否定され続けたからこそ、こんな完成度の高いおかしな人格が生まれてしまったものだと、自ら喜びに近い思いを抱いて、両親に感謝しつつも開き直っているのですが、堀江さんが世の中の常識は間違っていると断言することの多くと、この辺り相当被ることが多いのです。
そして、やっぱり、なんであのホリエモンがミュージカルなんてやってるの?という疑問。
「若い頃には、テレビ局や、球団を買収しようとしたけどさ~」などと、自らの台詞に込めているあたり、主人公のスクルージ役がどハマりしていて、人間としての堀江貴文の凄み、優しさなど、ひとつの舞台でさまざまな顔、信念を見せている姿が痛快そのもの。さらに、和牛フルコースを堪能しながらという、これも常識外れなミュージカルの上演形式にも、ふむふむとうなづかされるのでした。エンタテインメントを追求していったら、行き着いた先がこうだったというミュージカル。惜しくも東京公演は終わりましたが、大阪公演を是非ご堪能して頂きたいです。実際、舞台は足を運んで観ないとわからないですからね。
サンタさんがいっぱい
12月後半になって、私を含めた世界中の公認サンタクロースを追い続けている、写真家の角田明子さんの写真展が、東京ミッドタウンのFUJIFILM SQUAREで催されています。
2011年、世界サンタクロース会議開催中のデンマークで初めてお会いしてから、これまで執念で本当のサンタクロースの姿にこだわって、シャッターを切り続けてきた彼女の、ひとつの区切りともいうべき内容の写真展です。
サンタクロースのいわゆるプレス用写真というのは、いろんな報道機関が、イベントごとに撮っていますから、カットとしてはたくさん残っているのですが、一人の目線で長いこと追い続けていると、サンタクロースの内面に触れるようなハートウォーミングなカットがたくさんで、各国のサンタさんからすると、角田明子さんに撮られることを喜んでいるような関係を築けたことは、賞賛に値します。
これからも、観る人を笑顔にするようなサンタクロースの一瞬を切り抜いていって欲しいです。
クリスマスまで大忙しといいつつ、クリスマスが終わっても、情熱のパーカッション講座、東京パノラママンボボーイズのライブ、年越し蔓餃苑、さらにクリスマスが終わっているというのに、極寒のノルウェーで開催される「サンタウインターゲーム」に参戦と、まったくカラダを休めることができません。
休んだら、なにもかも終わり。
なにか、ずっとそういう強迫観念で支配されているような気もするのですが、この不規則な生活こそが規則的という、健康の秘訣をみなさんにも是非教えてあげたいものです。
メリークリスマス、そしてハッピィーニューイヤー!
※記事の情報は2019年12月25日時点のものです。
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【PROFILE】
パラダイス山元 (ぱらだいす・やまもと)
マンボミュージシャンの傍ら、東京・荻窪で、招待制高級紳士餃子レストラン「蔓餃苑」を営む。1962年北海道札幌市生まれ。他に「マン盆栽」の家元、グリーンランド国際サンタクロース協会の公認サンタクロース、入浴剤ソムリエとして「蔓潤湯」開発監修者、ミリオンマイラー「プロ搭乗客」と、活動は混迷を極める。趣味は献血。愛車はメルセデスベンツ ウニモグ U1450。著書に「餃子の創り方」「GYOZA」「うまい餃子」「パラダイス山元の飛行機の乗り方」「なぜデキる男とモテる女は飛行機に乗るのか?」「マン盆栽の超情景」などがある。
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