【連載】イノベーション創出のためのグラフィックレコーディング
2020.06.23
三澤直加 / 和田あずみ(株式会社グラグリッド) / 関美穂子(株式会社グラグリッド パートナー)
「テレワークの議事録でも大活躍!チームをつなぐグラレコ」
今回は、私たちがテレワークをしながら実施している会議中でのグラフィックレコーディング(以下、グラレコ)を事例に、「チームをつなぐグラレコ議事録」についてご紹介します。
テレワークのビデオ会議でグラレコを描いてみたら...
先日、私はとあるテレワークのビデオ会議に出席しました。その会議は、事業化に向けてまずはアイデアを自由に議論する場。2時間ずっと話が止まらず盛り上がり、私はその間、自分用のメモとしてパソコンを見ながら手元で内容をグラレコでまとめていました。そして終わった後、紙を写真に撮って参加者にメールで送ってみました。
すると参加者の皆さんから
「2時間で話したことがまとまっていて、話の内容がよく思い出せます」
「このグラレコを見ていたら、私達が取り組むべきことが見えてきた!」
「テレワークの会議で不安だったけど、ちゃんと議論していたことが見えて安心できた」
という返信が。
テレワークのビデオ会議で、新しい一歩が生まれた!
画面ごし、スピーカーごしでコミュニケーションを行うテレワークのビデオ会議は、対面の会議に比べて表情が読み取りにくく、細かい声のニュアンスが聞き取りづらい環境です。
ですから、相手の言いたいことが正しくつかめなかったり、強調したい重要なことを聞き逃したりしてしまうことも。また、雑談から生まれる自由な議論がしづらい、話し出すタイミングがつかみづらい、という問題もあります。
しかし、今回のビデオ会議では、グラレコを共有したことで議論した内容を確かめ合い、前進することができたのです。
離れていても、グラレコを使うことで、チームはつながり合えると感じました。
その時のグラレコって、どんなモノなの?
こちらが、その時のグラレコの一部です。
そして、どんな風に描いたのか、簡単に解説するとこんな感じ。
・話題ごとに見出しをつけた
・接続詞の代わりに矢印を使って表現
・ポイントになるところにアイコンをつけた
・比率をグラフで表現
このように、意識を変えながら、「話した順番」でなく「関係あるものを近くに」意識して描いていました。
【どうしたら描ける?】
その1~話の内容をシンプルに描こう
「聞きながら描くって、そんなことできるの?」
「そんなことができるのって、絵が上手な人だけじゃないのかな?」
そう思っている方にお伝えしたいのは、重要なのは「綺麗なメモ」でなく「伝わるメモ」であること。そして聞きながら「伝わるメモ」をとるコツは、表現をできるだけシンプルにすることです。
例えば、イラストはこのくらい。
そして、文字もできるだけシンプルにします。聞いたものをそのまま文章で書いてしまうとスピードについていけなくなってしまいます。大切なキーワードだけ抜き出します。例えば、箇条書きや体言止め、吹き出しに入れてセリフ風にするのもおすすめです。
そうすると時間にも、紙のスペースにも余裕ができます。
【どうしたら描ける?】
その2~自分の解釈を加えてみよう
チームをつなぐために、グラレコで大事なことのその2は、自分の解釈を加えていくことです。
(1)話の内容がわかりやすくなるよう、表現を工夫しよう
話の構造や重要な点などが一目でわかるように、表現を加えていきます。テレワーク会議のメンバーで共有した時に、何が重要だったのか意識合わせをすることもできますし、何よりまとめていく過程で、自分の頭の中でも内容が整理されていきます。
<工夫例>
・話題ごとに小見出しをつける
・話のまとまりごとに囲む、色を塗る
・関係のある話をつなぐ
・重要なポイントに色を塗って強調したり、イラストやマークをつけたりする
(2)自分が感じたポイントを書き加える
さらに、会議を聞きながら自分が感じたことを吹き出し形式で書き加えてみましょう。自分の感じたことが誰かの気づきを生むきっかけになるかもしれません。
「自分の感じたことが誰かの役に立つの?」と思われるかもしれませんが、あなたの感想やアイデアが周りの人の刺激になり、発想を生むことがあります。
これから始めたい人向け3つのポイント
ではここで、テレワーク会議でのグラレコにチャレンジしたくなったあなたに、最初の一歩に必要な3つのポイントを説明します。
ポイント1:グラレコ基本3点セットを用意しよう!
まずは手元に道具を揃えましょう。最低限これがあれば大丈夫。
・白い紙...A4サイズ
・サインペン...黒のサインペン
・色塗り用ペン...色鉛筆や薄い色の蛍光ペン
ポイント2:話が変わったら、次の紙!
1枚に多くの内容を詰めて描いたらゴチャゴチャしてしまい、せっかく描いたグラレコが見てもらえないこともあります。わかりやすいように、1枚に1話題がおすすめです。
ポイント3:見やすいように表現するのは、会議が終わった後で!
先ほどお伝えした囲みや色塗りなどの表現の工夫は、慣れるまでは会議が終わった後にゆっくり取り組むことをおすすめします。
会議中は話の重要な発言を聞き漏らさずキャッチして、シンプルなキーワードで書き留めることに集中しましょう。
以上の3点を念頭に置いて、ぜひみなさんの自分なりの「伝わるメモ」の描き方を作ってみてください。
自分のメモを周りに見せることが、チームをつなぐ第一歩に
直接会って話す会議よりも集中力を必要とするテレワークのビデオ会議。終わった後に大事なことが記録されていて、サッと振り返られるものがあると役に立ちます。
グラレコにチャレンジしたいと思っている方にとってビデオ会議は、「メモを取っていたので送ります!」と、言いやすい環境です。
みなさんの中にもテレワーク会議に出席しながら、手元のノートに自分用のメモを取っている方がいらっしゃると思います。そのせっかくのメモを少しだけ見やすくなるように工夫して、気軽にメモとして共有していきませんか?
あなたのグラレコ議事録がチームを繋ぎ、新たな発想を生み、プロジェクトを前進させるきっかけになるかもしれません。
※記事の情報は2020年6月23日時点のものです。
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【PROFILE】
三澤直加(ビジョンデザイナー)
和田あずみ(ビジュアルファシリテーター)
関美穂子(ビジュアルファシリテーター)
株式会社グラグリッドは、デザイン思考やさまざまな手法を効果的に活用しながら、ともに戦略をつくり出す「共創型サービスデザインファーム」。「企業と、行政と、学校と、明るい未来をつくり出すためにプロジェクトに伴走する」活動を行っている。
事業戦略やブランド力の強化を支援する「ビジョンづくり」から、イノベーション創出を支援する「商品づくり」、クリエイティブな組織文化醸成を支援する「組織づくり」まで、幅広くサポート。主な事業内容は、商品企画支援、事業戦略支援、コンサルティング業務、デザイン支援、会議活性化支援、 プログラム開発、イベント活性化支援、人事育成支援、 グラフィックレコーディング、ファシリテーション、 地域交流支援、サービスデザインなど。
株式会社グラグリッド
https://glagrid.jp/
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