オンラインイベントの体験価値を上げるデジタルグラフィックレコーディングって?

OCT 22, 2020

三澤直加 / 和田あずみ(株式会社グラグリッド) / 関美穂子(株式会社グラグリッド パートナー) オンラインイベントの体験価値を上げるデジタルグラフィックレコーディングって?

OCT 22, 2020

三澤直加 / 和田あずみ(株式会社グラグリッド) / 関美穂子(株式会社グラグリッド パートナー) オンラインイベントの体験価値を上げるデジタルグラフィックレコーディングって? 手書きで絵や図を描きながら思考を活性化させる、グラフィックレコーディング活用法についての連載です。今回は、オンラインイベントやオンライン会議でつかえる方法ををご紹介いただきました。

3つの密を避けるために、多くのイベントがオンラインで開催されるようになりました。これまでイベントで活用されていたグラフィックレコーディングも状況に合わせて変化しています。 タブレットで記録し、画像を投影していくデジタルグラレコです。




「デジタルグラレコ」ってなに?

iPadなどのタブレットを使ってデジタル環境で描くグラフィックレコーディングを、デジタルグラフィックレコーディング(デジタルグラレコ)と呼ぶことがあります。


紙に描くグラフィックレコーディング(以下、グラレコ)と同じように、手描きでリアルタイムに情報をまとめていきますが、デジタルなら消すのも簡単、配置替えも簡単です。これからグラレコにチャレンジしてみたい、という方にはうってつけかもしれません。


「デジタルグラレコ」ってなに?




オンラインイベントだからこそ求められるデジタルグラレコ

デジタルグラレコは今、オンラインイベントの主催者から注目を集めています。なぜならオンラインイベントでは、リアルイベント(実際に現地に人が集まるイベント)と比較して参加者に「体験価値」を提供しにくいという側面があるからです。


例えば、リアルイベントでは実際に展示物を触って楽しめたり、参加者同士の交流があったりと、さまざまな体感型演出が行えるので肌で熱量を感じられます。しかし、オンラインイベントでは、そうした交流が生まれにくく心が動くような体験を提供しにくくなっています。
このような状況で、グラレコのもつ手描きの柔らかさ、リアルタイムに描かれていくライブ感など、「体験価値」を増強できる効果を、オンライン上で活用していく取り組みが始まっているのです。




どんな効果がある? 普通のグラレコとの違いは?

どんな効果がある?普通のグラレコとの違いは?まずはタブレットと通信環境を用意


●どこにいてもiPadさえあればできる
デジタルグラレコの一番のメリットは、どこからでもグラレコに参加できるということ。移動時間、準備時間をかけずに、手軽に実施できます。また、イベントの主催者側も、全国にいるグラフィックレコーダーに依頼をしやすくなっています。


●SNSに拡散しやすい
iPadで描くので、画像化が簡単。描き終わった瞬間に、画像をSNSにアップすることもできます。また、アプリケーションによっては、描いた軌跡を即座に動画で書き出しできるものも。グラレコがより身近になりますね。


●カラフルでインパクトのあるデザインをつくりやすい
そして、デジタル制作の特徴の一つとして、色塗りが簡単という点があります。これは効率が良いだけではなく、より自由にデザイン性が発揮できるというメリットがあります。色や画像を背景としたデザインなど、カラフルでインパクトのあるグラレコが可能になります。




デジタルグラレコって、どうやってやるの?

オンラインイベントで、デジタルグラレコを使うには、大きく分けて3つのスタイルがあります。効果や時間によって最適な方法を選んでみるとよいでしょう。


スタジオで描いている様子スタジオで描いている様子


●スタイル1:撮影会場で描く
オンラインイベントをスタジオから配信する場合、そのスタジオに入りデジタルグラレコを行うスタイルです。
イベント主催者とグラフィックレコーダーが同じ場所でコミュニケーションをとりながら実施できるので、効果的なタイミングでグラレコを投影、配信することができます。
スタイル1:撮影会場で描く


●スタイル2:録画した動画を見て事前に描く
配信する動画を事前に収録し、その収録動画を見てイベントよりも前にデジタルグラレコをつくるスタイルです。オンデマンド型でイベント動画を配信する場合に多く採用されています。ライブ感のある演出はできなくなりますが、要約された1枚の絵としてデジタルグラレコを配信していくことができます。
スタイル2:録画した動画を見て事前に描く


●スタイル3:配信されている内容をライブで描く
グラフィックレコーダーも、画面ごしにオンラインイベントを見ながらグラレコを描き、画像を共有するかたちで参加していくスタイルです。イベントの設営準備などにグラフィックレコーダーが関わらなくてよいので、気軽に導入できます。
スタイル3:配信されている内容をライブで描く




チャレンジしてみたいと思ったら

間違ってもすぐに消せるデジタルグラレコ。環境さえそろえば、意外と簡単に始められます。タブレットとスタイラスを用意して、ぜひチャレンジしてみましょう。ここからは、iPadを前提として、便利なアプリをご紹介します。


●細かい設定が可能なプロ仕様アプリ

Procreate(プロクリエイト)

「Procreate(プロクリエイト)」
高度な描画、画像調整機能を備えたイラスト制作アプリ
https://apps.apple.com/jp/app/procreate/id425073498
世界的に多くのグラフィックレコーダーが現場で使っているiPad対応アプリ「Procreate」。簡単に描き始められるのに、高度なカスタマイズ機能が満載の有料アプリ。ペン先を押し当てたままちょっと待つだけで、直線などを描けるのも便利です。iPhone用には「Procreate Pocket」があります。


iPadユーザーなら「Procreate」を使ってデジタルグラレコiPadユーザーなら「Procreate」を使ってデジタルグラレコ


●オンラインの上で議論できる共同編集アプリ(英語)

Miro(ミロ): collaborative whiteboard

「Miro(ミロ): collaborative whiteboard」
オンラインで利用できる共同型ホワイトボードプラットフォーム
https://apps.apple.com/jp/app/miro-collaborative-whiteboard/id1180074773
オンライン会議用のホワイトボードとして使われることの多い「miro」ですが、実は、グラレコでも使えます。パソコンやスマートフォン、タブレット端末などに対応。複数人で同時に書き込みができるので、チームで記録する時に便利。絵を描くのが苦手な方には、付箋機能を使って参加してもらうこともできます。お試しだけなら、無料版でも利用可能です。


パソコンでもタブレットでも使える「miro」でデジタルグラレコパソコンでもタブレットでも使える「Miro」でデジタルグラレコ




イベントのライブ感をグラレコで演出しよう

イベントは双方向のやりとりがあり、何が起こるか分からないというライブ感も魅力の一つですよね。そんなイベントに対して、手描きのグラフィックレコーディングであれば、柔軟に対応していくことが可能です。オンラインであってもそれは同じです。事前準備も大事ですが、その場で起こったことを受け止め、楽しんで描いていく姿勢が必要になっていると思います。そして、その過程こそが最大の演出になるのではないでしょうか。


※記事の情報は2020年10月22日時点のものです。

  • プロフィール画像 三澤直加 / 和田あずみ(株式会社グラグリッド) / 関美穂子(株式会社グラグリッド パートナー)

    【PROFILE】

    三澤直加(ビジョンデザイナー)
    和田あずみ(ビジュアルファシリテーター)
    関美穂子(ビジュアルファシリテーター)

    株式会社グラグリッドは、デザイン思考やさまざまな手法を効果的に活用しながら、ともに戦略をつくり出す「共創型サービスデザインファーム」。「企業と、行政と、学校と、明るい未来をつくり出すためにプロジェクトに伴走する」活動を行っている。

    事業戦略やブランド力の強化を支援する「ビジョンづくり」から、イノベーション創出を支援する「商品づくり」、クリエイティブな組織文化醸成を支援する「組織づくり」まで、幅広くサポート。主な事業内容は、商品企画支援、事業戦略支援、コンサルティング業務、デザイン支援、会議活性化支援、 プログラム開発、イベント活性化支援、人事育成支援、 グラフィックレコーディング、ファシリテーション、 地域交流支援、サービスデザインなど。

    株式会社グラグリッド
    https://glagrid.jp/

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