【連載】創造する人に役立つ文房具

菅 未里

偉人たちが愛した鉛筆

モノを書くことを覚え始めた幼少期からずっと身近にあるペンやノートなどの文房具。いま改めてその世界を覗き込めば、使い心地、デザイン、遊び心やユニークさなど、驚くほど多様なアイテムがあり、進化を遂げていることに驚かされます。連載「創造する人に役立つ文房具」では、文具ソムリエール菅未里さんに、数ある文具の中から「使うことでクリエイティブな気持ちになれるアイテム」をご紹介いただきます。

鉛筆を使う機会はあるでしょうか。


子供の頃はいつも筆箱に入っていた鉛筆ですが、大人になるにつれ、使わなくなってしまった方も多いかもしれません。しかし、鉛筆の、黒鉛が紙の繊維に削り取られていくあの書き味は、他の筆記用具にはないものです。


歴史に名を遺す偉人たちも鉛筆を愛用してきました。たとえばノーベル賞作家のジョン・スタインベックや建築家のフランク・ロイド・ライトがそうです。



クリエイターたちに愛された「ブラックウィング」

彼らが使っていたのが、米国製の鉛筆「ブラックウィング」です。消しゴムの付け方に特徴があるこの鉛筆は、1930年代に製造が始まり、海外で多くの人々に愛されていました。


クリエイターたちに愛された「ブラックウィング」1998年にはいったん製造を停止してしまうのですが、ファンの声に応え、2010年に生産を再開します。今私たちが手に入れられるブラックウィングは、この生産再開後の新しいブラックウィングです。



日本製になったブラックウィング

さて、生産再開後のブラックウィングですが、実は日本で作られていることをご存知でしょうか。メーカーは米国なのですが、製造は日本なのです。


海外メーカーの鉛筆は硬度が高すぎるなど書きにくいイメージがあるかもしれませんが、ブラックウィングなら心配いりません。硬度は4段階から選べますし、書き味もまったく問題がありません。


著名なクリエイターたちに愛された歴史と秀逸なデザイン、そして日本製の安心感。この3つを併せ持つ鉛筆は極めて貴重といえるでしょう。


日本製になったブラックウィング

消しゴムが取り外せる

ブラックウィングが愛される理由は、デザインだけではなく使い勝手の良さにもあるでしょう。たとえば特徴的な消しゴムですが、消しゴム付き鉛筆によくある「申し訳」程度のものではなく、かなりの大きさがありますから実用性もあります。


しかも、この消しゴムは簡単に取り外せるようになっていますから、消しゴムが芯より先に無くなってしまっても、替えの消しゴムにすぐ交換できます。


この消しゴムは簡単に取り外せるようになっているので、消しゴムが芯より先に無くなってしまっても、替えの消しゴムにすぐ交換できます。
しかしやはり私は、このデザインの美しさをご覧いただきたいと思っています。落ち着いた軸の色とは対照的な、お尻の金色の金具がアクセントになっています。


やはり私は、このデザインの美しさをご覧いただきたいと思っています。落ち着いた軸の色とは対照的な、お尻の金色の金具がアクセントになっています。ブラックウィングはさまざまな限定版を出すのが特徴でもあります。文房具店には、もう作られていない過去の限定品が置かれていたりしますから、よくチェックしてみてください。思わぬ掘り出し物との出会いが待っているのもブラックウィングの魅力です。



【ご紹介したアイテム詳細はこちら】
ブラックウィング


※記事の情報は2020年8月7日時点のものです。

  • プロフィール画像 菅 未里

    【PROFILE】

    菅未里(かん・みさと)

    文具ソムリエール。
    文房具販売・仕入れ担当を経て、文房具の専門家として独立。
    国内外で商品や売り場の企画・監修、各種メディア出演、メーカーのコンサルティング、執筆などを行っている。日経MJなど連載多数。

    著書に『私の好きな 文房具の秘密』(エイ出版社)、『仕事を効率化する ビジネス文具』(ポプラ社)、『毎日が楽しくなる きらめき文房具』(KADOKAWA)、『文具に恋して。』(洋泉社)がある。

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