【連載】創造する人に役立つ文房具
2020.09.08
菅 未里
紙の色を変えて、創造力を刺激する
モノを書くことを覚え始めた幼少期からずっと身近にあるペンやノートなどの文房具。いま改めてその世界を覗き込めば、使い心地、デザイン、遊び心やユニークさなど、驚くほど多様なアイテムがあり、進化を遂げていることに驚かされます。連載「創造する人に役立つ文房具」では、文具ソムリエール菅未里さんに、数ある文具の中から「使うことでクリエイティブな気持ちになれるアイテム」をご紹介いただきます。
気分を変えるためにカフェで仕事をしてみたり、仕事場の模様替えをする方がいます。環境を変えると創造する力がアップするのかもしれません。
しかし、仕事の環境を大きく変えるのは簡単ではありません。なにか良い手はないものでしょうか。
紙の色が派手な「カンポマルツィオ」
イタリアに「CAMPO MARZIO(カンポマルツィオ)」という文房具メーカーがあります。第二次世界大戦前のローマで創業されたメーカーで、筆記具なども有名です。日本には直営店はありませんが、オンラインや文房具店で買うことができます。今回はその、カンポマルツィオのノートをご紹介します。
「ノート」という商品名ですが、日本でいうメモ帳です。ただし、作りが派手。合皮風の表紙の色も派手ですが、中の紙の色も日本では珍しいビビッドなものです。
そして何よりも重要なのは、表紙と中の紙の色が異なることです。表紙はオレンジなのに中の紙は緑とか、表紙がピンクで中は青とか、違う色を組み合わせていることでさらに派手になっています。
しかし、それでも全体のバランスが破綻していないのはさすが、カンポマルツィオのセンスといえるのかもしれません。
紙の色で創造力を刺激
私はこのノートを、ちぎって本のしおりにしています。私はしおりに色々と本に関するメモをするので、メモ帳である必要があるのです。
私がカンポマルツィオを選ぶのは、紙の色が派手なので、頭が刺激される気がするのです。いつもの白い紙もいいですが、ずっと同じ色の紙を使い続けるのは、同じ環境ばかりで仕事をするようなもので、そこには一種のマンネリが生じます。
しかし紙の色が新鮮だと、発想が活発になったり、紙の色に引っ張られて、「あ、前はこう考えたな」と過去の記憶が想起されたりもします。私はカンポマルツィオのノートを複数冊持っているので、気分によって使い分けられるのもいいですね。現状、8色用意されています。
私のようにしおりとして使う方は少数派だとは思いますが、普通にメモとして使う場合でも、色の違いは発想を手助けしてくれるはずです。あるいはもっと実用的に、色によってテーマを分けるのもよさそうです。赤はプライベート、青は仕事......など。ペンは、水性ボールペンだとやや滲むので、ゲルもしくは油性のボールペンがいいでしょう。
行き詰まったら気分を変えることは誰でもやっていると思いますが、普段使いの紙の色は見落とされがちなのではないでしょうか。しかし、服を着替えるように紙の色も使い分けられたら、いつも新鮮な気分でいられるに違いありません。
【ご紹介したアイテム詳細はこちら】
CAMPO MARZIO カンポマルツィオ
CAMPO MARZIO カンポマルツィオ SAFFIANOノート S/M
※記事の情報は2020年9月8日時点のものです。
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【PROFILE】
菅未里(かん・みさと)
文具ソムリエール。
文房具販売・仕入れ担当を経て、文房具の専門家として独立。
国内外で商品や売り場の企画・監修、各種メディア出演、メーカーのコンサルティング、執筆などを行っている。日経MJなど連載多数。
著書に『私の好きな 文房具の秘密』(エイ出版社)、『仕事を効率化する ビジネス文具』(ポプラ社)、『毎日が楽しくなる きらめき文房具』(KADOKAWA)、『文具に恋して。』(洋泉社)がある。
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