【連載】創造する人に役立つ文房具
2022.11.08
菅 未里
書く場所を選ばない自由さが創造力を高める
モノを書くことを覚え始めた幼少期からずっと身近にあるペンやノートなどの文房具。いま改めてその世界を覗き込めば、使い心地、デザイン、遊び心やユニークさなど、多様なアイテムがあり、進化を遂げていることに驚かされます。連載「創造する人に役立つ文房具」では、文具ソムリエール菅未里さんに、数ある文具の中から「使うことでクリエイティブな気持ちになれるアイテム」をご紹介いただきます。
アメリカでは油性マーカーの代名詞「シャーピー」
1964年に発売された「シャーピー」、アメリカでは知名度が高く油性マーカーの代名詞ともいえるペンですが、ご存知でしょうか。例えば「バンドエイド」や「ジップロック」も商品の名前ですが、ばんそうこうやチャック付きバッグの代名詞になっていますよね。
日本では油性マーカーを「マジック」と呼ぶ方がいますが、実は「マジック」は寺西化学工業が販売する油性マーカー「マジックインキ」の商品名から来ています。日本の「マジック」に当たるアメリカで代表的な油性マーカーがこの「シャーピー」です。
約120色ものバリエーション
「シャーピー」の特徴はなんといっても色展開。一般的に色バリエーションが少ない油性マーカーで、アメリカではなんと約120色のバリエーションがあり、日本で取り扱っている色だけでも50色以上だとか。ガラスや木材・石材・金属などさまざまな素材に書けるので、紙以外にも何かを書きたいクリエイティブな皆さんにぴったりでしょう。
アメリカでは一家に2本「シャーピー」がある計算になるほど販売数が多く、市場シェアは80%。さらに一般家庭だけでなく航空機産業など仕事の場などでも幅広く使用されています。ハリウッドセレブやメジャーリーガーのサインにもよく使われるので、雑誌やテレビに映り込んでいるのを見たことがある方もいるかもしれません。
このように世界的には有名なブランドなのですが、身の回りでは知らないという方も少なくないでしょう。日本ではあまり知名度が高くはないのです。実は2016年に1度日本での取り扱いを終了したため、正規購入が難しくなっていた時期がありました。文房具店で「シャーピー」を見る機会も減っていたのですが、2020年に日本での取り扱いが再開され、4年ぶりのカムバックとなりました。現在では文房具店での取り扱いも復活し、手に入りやすくなっています。
油性マーカーでは珍しいニュアンスカラー
すでに色数が多い「シャーピー」ですが、今年発売された新シリーズ「シャーピーミスティックジェム」にも注目です。タンザナイトやシトリン、ローズクォーツなど鉱石の名前が付いたニュアンスカラー12色がそろいました。
忘れてしまいそうですが、「シャーピー」は油性マーカーです。水性マーカーでは色展開が多いものがありますが、油性マーカーでこのようなニュアンスカラーはなかなかありません。色鉛筆のように繊細な色がそろい、書く場所を選ばない自由さはユーザーの創造力を高めてくれそうです。
【ご紹介したアイテム詳細はこちら】
シャーピー「ミスティックジェム 12本セット」
※記事の情報は2022年11月8日時点のものです。
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【PROFILE】
菅未里(かん・みさと)
文具ソムリエール。
文房具販売・仕入れ担当を経て、文房具の専門家として独立。
国内外で商品や売り場の企画・監修、各種メディア出演、メーカーのコンサルティング、執筆などを行っている。日経MJなど連載多数。
著書に『私の好きな 文房具の秘密』(エイ出版社)、『仕事を効率化する ビジネス文具』(ポプラ社)、『毎日が楽しくなる きらめき文房具』(KADOKAWA)、『文具に恋して。』(洋泉社)がある。
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