【連載】創造する人に役立つ文房具

菅 未里

発想は、字の色で変わる

モノを書くことを覚え始めた幼少期からずっと身近にあるペンやノートなどの文房具。いま改めてその世界を覗き込めば、使い心地、デザイン、遊び心やユニークさなど、驚くほど多様なアイテムがあり、進化を遂げていることに驚かされます。連載「創造する人に役立つ文房具」では、文具ソムリエール菅未里さんに、数ある文具の中から「使うことでクリエイティブな気持ちになれるアイテム」をご紹介いただきます。

「黒が当たり前」ではない

仕事で字を書くときに、何色のインクを使っているでしょうか?

「そんなの、黒に決まっているじゃないか」という方がほとんどだと思います。確かに、日本では黒が正式だとされています。役所への提出書類も、黒ですよね。

しかしその習慣は、墨を使っていた文化圏に特徴的なものだとされています。つまり、世界的に見ると、必ずしも「黒インク=正式」とは限らないのです。海外、特にヨーロッパでは、青インク(ブルーブラック)を多用する国も少なくありません。



仕事場で色の多様化が進んだ

もっとも、最近の日本のオフィスではカジュアル化が進み、提出書類は相変わらず黒インクが前提ですが、ご自分の手帳などに使うペンに黒以外のインクを選ぶ方も増えてきました。

クールビズによって「仕事用の服」が多様化した様子に似ています。

ただし、多様化といっても、なんでもOKというわけではありません。仕事場にふさわしい落ち着いた色でありながら、黒ではないインクが選ばれているのです。



大人のカラーペン

そんな仕事場でのインクの多様化は、「あのボールペン」にまで及びました。ZEBRAの大ヒット作「サラサクリップ」です。

近年メジャーになったゲルインクボールペンの中でも、最大級のヒット作であるサラサクリップ。お手元にお持ちの方も多いでしょう。

そのサラサクリップに、「ビンテージカラー」を採用したモデル「サラサグランド」が登場しました。ビンテージカラーとは、先ほど述べたような、黒ではないけれど仕事にもふさわしい、落ち着いた色のことです。



大人のカラーペン


インクも質感も大人向け

サラサグランドには、「セピアブラック」「ブルーグレー」「グリーンブラック」といった、大人っぽい色合いのインクが10色用意されています。加えて、ブラックもあります。


インクも質感も大人向け


しかし素晴らしいのはインクだけではありません。既存のサラサとは一線を画すマットなボディの質感も、落ち着いた雰囲気を演出してくれます。もちろん金属軸で、軸の色は中のインクの色と揃えられています。サラサシリーズを特徴づける、使いやすい「バインダークリップ」も健在です。


サラサシリーズを特徴づける、使いやすい「バインダークリップ」も健在です。


とても1000円+税のペンには見えませんよね。複数本をまとめ買いする方が多いと聞きましたが、それもうなずけます。

色を変えて気分も変える

黒以外のインクで筆記をした経験があるかたはお分かりだと思いますが、インクの色を変えると紙面の印象がかなり変わりますから、気分転換になります。行き詰まったら、まずはインクの色を変えてみてはいかがでしょうか。


ZEBRA「サラサグランド」

サラサグランドの替え芯は80円+税で買えますから、もし購入時のインクの色が合わなければ、気軽に他の色も試せます。あなただけのノートなら、インクの色も他の人とは違っていいはず。黒ばかりにこだわらず、色でも一歩踏み出してみませんか。



【ご紹介したアイテム詳細はこちら】
ZEBRA「サラサグランド」


※記事の情報は2020年10月13日時点のものです。

  • プロフィール画像 菅 未里

    【PROFILE】

    菅未里(かん・みさと)

    文具ソムリエール。
    文房具販売・仕入れ担当を経て、文房具の専門家として独立。
    国内外で商品や売り場の企画・監修、各種メディア出演、メーカーのコンサルティング、執筆などを行っている。日経MJなど連載多数。

    著書に『私の好きな 文房具の秘密』(エイ出版社)、『仕事を効率化する ビジネス文具』(ポプラ社)、『毎日が楽しくなる きらめき文房具』(KADOKAWA)、『文具に恋して。』(洋泉社)がある。

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