海外ツアー編<スイス>初めて食べたラクレットと絶景の中で行われる試合|西堀健実【連載⑨】

【連載】Beaches! ビーチバレーと私

西堀健実

海外ツアー編<スイス>初めて食べたラクレットと絶景の中で行われる試合|西堀健実【連載⑨】

ビーチバレー選手の西堀健実さんが、バレーボールとビーチバレーにかけた青春の日々を綴ります。海外ツアー編4回目はスイス。初めて食べたラクレットや不思議な縁、「アルプスの少女ハイジ」のような絶景の中で行われる試合をご紹介いただきました。

雄大なアルプス山脈を眺めながら列車で大会開催地へ

今回ご紹介する国はスイス。ビーチバレーでツアーをしていて、お気に入りの国を聞かれたら必ず名前を挙げる国ですね。スイスでビーチバレー。意外と思われる方も多いかと思うのですが、スイスではビーチバレーが盛んで、強豪国の一つでもあります。


前回のパリ五輪でも、女子は銅メダルでしたし、各地で国内・国際大会が開催されています。スイスで私が特に好きな場所は、グシュタード(Gstaad)というところです。


あまり聞きなじみのない土地でしょうか? 私はツアーをきっかけに知りました。海外ツアーをしていると、それをきっかけに初めて知る国や街がたくさんあります。グシュタードは、スイスのベルン州、ベルナー・オーバーラントという地方に位置するドイツ語圏の山岳リゾート地です。私は夏のグシュタードしか知りませんが、山岳リゾート地ということもあり、冬も観光客で賑わうようです。一度訪れてみたいですね。


日本の公用語は日本語オンリーですが、スイスはドイツ語、フランス語、イタリア語、そしてロマンシュ語なるものが地域毎に使用されているそう。隣接する国が多いからでしょうか? 自動的にバイリンガル、トリリンガルのスキルが身に付きそうですよね。日本の方言みたいな感覚なのでしょうかね? 羨ましいです。


大会毎に空港からホテルまで送迎が用意されていることが多いのですが、スイスでの大会時は列車で移動すると決めています。ジュネーブ空港から、グシュタードまで列車が出ており、3時間以上かかりますが、そんな時間も感じさせないほど車窓からの雄大な自然を楽しめます。有名なレマン湖(スイスとフランスにまたがる三日月型の湖)を通り過ぎ、現れるアルプス山脈は迫力満点です。


車窓から見える雄大な風景


空港からグシュタードまでの鉄道チケット




初めて会った人のご自宅に招かれ名物料理をいただく


このチケットを見て思い出したことが一つ。スイスはグシュタードではない別の土地で合宿をした時のことです。目的地へ行くためのチケットの買い方が分からず、途方に暮れていたら、現地の人が助けてくれました。普通はそれでさようなら、なのですが話が盛り上がり、その恩人のご両親のどちらかがインドネシアの方ということが判明し、アジア繋がりということで、お家での夕食にご招待いただいたのです。


夕食のリクエストを聞かれたので、スイスと言ったらチーズフォンデュ! ということでお願いしたら、スイスにはラクレットというチーズ料理があるからそれにしようということに。ラクレットとは......? と思いましたが、とにかく初めて会ったばかりの方にラクレットとやらをご馳走になりにいざ訪問。


お家には芸術家志望のルームメイトがおり、私たちには少し難解で個性的なアートを見せてくれました。そして何より初めて食べたラクレットがすごく美味しかったです。ラクレットとは、ラクレットチーズというチーズの切り口を温め、溶けたチーズに食材を付けながら食べる料理のことです。スイスの物価はものすごく高いので、とても助かりました。チケットの買い方を教えてもらっただけの人の家にご招待いただくという貴重な経験、そして人生で初めてラクレットを知った思い出でした。


いや、よくついて行ったな(笑)。 当時のパートナー、コーチも一緒だったからできたことで、良い子は真似をしないでね(笑)。ちなみにこの何年後かの違うスイスの駅で、偶然この恩人に遭遇。しかも行先は同じグシュタード。友人の結婚式があるとのことでした。出会いって面白いですね。海外だと特に。


グシュタードの町を走るかわいい観光用列車


どこをどう切り取っても素敵な写真になってしまう場所です


動物たちものんびり。柵には電流が流れていて私も一瞬感電しました(笑)




グシュタードでの予選突破。そのご褒美とは!?


グシュタードの建物は基本シャレーと呼ばれる山小屋でアニメ「アルプスの少女ハイジ」の世界そのものです。そんな中に試合会場が点在しています。


山の麓にある試合会場


町にある試合会場


ビーチバレーの試合は、この町のメインイベントの一つで観客席は満員です。町全体が盛り上がります。先にご紹介しましたがグシュタードは山岳リゾート地。山の上で気圧が関係しているのか、打球に変化があったり、日によって前日と20℃以上の気温差があったりと、気候の変化に翻弄される場所でもあります。環境の変化は、コントロールできない部分。いつでもコントロールできるのは自分自身です。こういう状況にも、鍛えられました。


そして、とにかく物価が高いグシュタードでの予選突破は格別に嬉しかったです。本選に上がると3食付き宿泊費がカバーされるのです。一泊何万円もするような高級なホテルにテンションが上がったのを覚えています。ビーチバレーの道を選んだから、経験することができたご褒美の一つでもあります。スイスのお話はここまで。次回はどこの国のお話でしょう。お楽しみに。


つづく


※記事の情報は2025年11月18日時点のものです。

  • プロフィール画像 西堀健実

    【PROFILE】

    西堀健実(にしぼり・たけみ)

    1981年生まれ、長野県中野市出身。身長171㎝。
    所属:biid株式会社
    経歴:小布施スポーツ少年団→裾花中学校→古川学園高等学校
    得意なプレー:相手選手の観察
    好きな言葉:一意専心

    【2023年国内大会】
    ・ジャパンビーチバレーボールツアー2023
    第2戦平塚大会 ガラナ・アンタルチカ杯 3位
    第3戦渋谷大会 3位
    ・ジャパンビーチバレーボールツアー2023サテライト
    第1戦横浜大会 3位

    【2023年国際大会】
    ・アジアツアー
    サラミオープン9位
    ・FIVB Beach Pro Tour 2023
    Futures/Satun(サトゥーン) 9位
    Futures/Seoul(ソウル) 5位
    Futures/Geelong(ジーロング) 5位

    【2024年国内大会】
    ジャパンビーチバレーボールツアー2024
    第8戦JBG須磨大会 3位
    第9戦マイナビ松山大会旭食品杯 3位

    【2024国際大会】
    ・アジアツアー
    ヌバリオープン 9位
    天津オープン 9位
    ヌバリチャンピオンシップ 19位
    ・FIVB Beach Pro Tour 2024
    Futures/Mollymook  9位
    Futures/Coolangatta 9位
    Futures/NUVALI 3位

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