アート
2020.11.18
今道しげみ(リビングフォト主宰 フォトグラファー)
今道しげみが教える「リビングフォト」 ~クリスマス編~
お家でクリエイティブなことをはじめてみませんか。「リビングフォト」提唱者でフォトグラファーの今道しげみさんが指南する、室内でのお花の撮り方レクチャー。季節のお花やモチーフの選び方から、一眼レフ、スマートフォンで上手く撮るコツまで解説いただきます。美しい写真を撮ってSNSでシェアしたり、カードにしたり、お部屋に飾ったり。ぜひ「リビングフォト」を楽しんでください。
リビングフォトとは
日々の暮らしの中で「すてき!」「きれい!」と感じた瞬間を写真に残したいと思ったことはありませんか? リビングフォトのレッスンでは幸せを感じた時間を、より美しく表現する方法を伝えています。
12月はクリスマスの華やかな飾り付けも楽しみなシーズンです。
クリスマスシーンを写真に撮って、SNSでシェアしたり、オリジナルの「クリスマス・カード」を仕立ててみてはいかがでしょうか。
フォトジェニックなスタイリング方法と、一眼レフカメラやスマートフォンを使った撮影方法を解説します。
リビングフォトの撮り方
STEP 1 被写体を決める
まずは欲張らすに、ご自分の持っているクリスマスのオーナメントや、クリスマスっぽいイメージの食器を使ってみましょう。
今回、私は赤い花3種類(左からケイトウ、ダリア、スプレーバラ・レッドマカレナ)と、モミの木を選びました。小さいリンゴとケーキ、そしてクグロフという型の陶器も使いました。ケーキの焼き型としても、花を活ける器としても使えます。緑色のケーキプレートは、植物との相性も抜群です。
STEP 2 セッティングする
カメラは光の反射を捉える道具なので、部屋のどこに置いて撮ると良い光になるかを見極めるのが大切です。クリスマスシーンの写真は抜け感のある明るい写真よりも、影を感じるシックな方が合いますので、窓が左手の方向になる「サイド光」の場所を選びます。
レースのカーテンを引いて光を柔らかく拡散させましょう。直射日光が射し込むような日当たりの良い場所は避けます。そして、必ずお部屋の照明は消しましょう。
こんなにたくさんの花を準備しなくても可愛い写真は撮れますので安心してください。花を1輪ずつ用意して、小さなブーケにします。
ダリアはディテールが美しい花なのでできるだけ寄って撮ってみましょう。
主役のダリアを中心以外の場所に配置して撮ると絵に動きが出ますし、余白には後で文字を入れても素敵ですね。背景に雰囲気のあるボードを敷けばスタイリングするアイテムが少なくても絵になります。物を増やす前に、布やボードを使って背景を工夫してみましょう。
この背景は、工事現場で使われていた足場板という杉材にアクリル絵の具でペイントして手作りしました。
STEP 3 写真を撮る
花や料理を撮影する場合は、一眼レフカメラ、またはミラーレス一眼カメラに「50mm F1.8」というレンズを付けて撮影する事をお薦めしています。歪みが出にくく、レンズによるボケ表現が美しいからです。
明るさを調整する「露出補正」の方法など、詳しい解説は下記アクティオノートの記事を参考にしてみてください。
おうちで撮る「リビングフォト」はじめてみませんか
https://note.aktio.co.jp/art/20200519-1100.html
リビングフォトを撮るコツ・注意点
1.一眼レフカメラのボケ感とピント合わせ
一眼レフカメラに50mm(F1.8~F2.8)のレンズを付けて、絞り優先Aモードにダイアルを設定します。小さいF値を選ぶと絞りが大きく開いて、背景がぼけやすくなります。F2.8前後に設定するとボケ感が出ます。ボケ感が表現されると、主役が引き立ち、奥行き感が出ますが、同時に「ピンボケ」の失敗も多くなるので注意が必要です。
ピント合わせはオートフォーカスを使いますが、どこにピントを合わせるのかは、自分で決められる設定にする必要があります。ニコンの場合は「AFエリアモード」を「シングルポイントAF」にして、液晶画面に映っている「主役(この場合は中央のリンゴ)」にタッチしてピントを合わせます。リビングフォトはどういう構図で切り取ろうかと考えた上で、主役をはっきり決めることが必要です。
2.スマートフォンでリビングフォトを撮る
最近のスマートフォンの画像はクオリティが高くなったと言われていますが、画素数がiPhone6以降は1200万画素あり、初中級レベルの一眼レフカメラが2400万画素であることを考えると、約半分にまで迫っています。ポストカードサイズのプリントであれば、全く問題ないでしょう。
プリントする場合は、「用紙サイズ」と「用紙の種類」を選びましょう。 ポストカードサイズに印刷してクリスマスカードにするか、A4サイズの半分に印刷して中央で山折りにして作ります。用紙の種類は文字を書き込める「フォトマット紙」や「インクジェット専用紙」を選びましょう。 きれいにプリントするコツを紹介していますのでこちらを参照してください。
花撮影のプロ今道しげみに聞く2:作品プリントの活用法
https://www.epson.jp/katsuyou/photo/article/imamichi02/
3.スマートフォンでボケ感を表現する方法
スマートフォンは機種によって搭載されているレンズが違いますが、背景をぼかすことができる「ポートレート」のモードがある機種の場合はぜひ使ってみましょう。「f」という表示を開くと数字が選べます。その数字を小さくするとボケが強くなります。
その場合も、一眼レフカメラの時と同じく、必ずどの部分にピントを合わせるのかをタッチをして決めてから、背景のぼけ具合をコントロールします。
4.スマートフォンの「ポートレート」モードを使って歪みを解消する
スマートフォンはデフォルトの広角レンズのまま被写体にぐっと近づくと歪みが出ます。直角のはずのトレーの角がかなり鋭角になっているのは、レンズの歪みのせいです。円形のものは分かりにくいのですが、このような歪みが見た人に違和感を与えるのでひと手間が必要です。
まず「ポートレート」モードがある人は使ってみましょう。「ポートレート」にするとレンズが切り替わってズームアップされ、歪みが緩和されます。
「ポートレート」モードがない場合は、ピンチアウトといって指2本で画面をズームアップします。拡大して撮影した画像は画質の低下が気になるところですが、最近のカメラは画素数も多いので画質よりも歪みを減らすことを優先した方がよいでしょう。カメラによっては「光学ズーム」と言って、画質が低下しないものもあります。
5.スマートフォンが得意なアングル
スマートフォンの撮影でお薦めなのは、フラットレイズと言って、真俯瞰から撮るスタイルです。フラットレイズはボケ感が必要ないので一眼レフとの差が出にくいのもうれしいですね。
クリスマスらしい写真の見せ方
1.「色合わせ」を考える
一般的には「赤・緑・金色」の組み合わせがトラディショナルなクリスマスカラーの組み合わせですが、好きな色を選んでみてもいいでしょう。ブルーの陶器のオーナメントを主役にしたクリスマスも冬の冷たさを感じて素敵です。陶器の白い部分から色をピックアップして、白のバラを組み合わせています。
英国のウエッジウッド社のジャスパーウェアを使った、クリスマスのフォトジェニック・スタイリングのフルバージョンはこちら。ポストカード印刷をしてクリスマスカードにもしています。
2.モミノキなどの針葉樹をあしらう
クリスマスらしさをスタイリングで表現するのにお薦めなのが、ヒムロやモミノキなどの「針葉樹」や、ヒイラギ、木の実などの植物です。1年中出回っているバラやカーネーションも「葉」との組み合わせを工夫するだけで、簡単にクリスマスのイメージに早変わりします。逆にこれらの針葉樹を入れると、クリスマス以外に使いにくくなるので針葉樹を入れないバージョンも撮っておくとよいかもしれませんね。
クリスマスシーンをSNSにアップしてみよう
SNSにクリスマスシーンを投稿してみましょう
SNSはほとんどの場合「縦スクロール」なので、縦位置に撮った方が写真が目立ちます。インスタグラムにアップする際、縦で撮った画像がはじめは正方形に表示されますが、5:4に変更します。アプリを使って文字を入れると一段とクリスマスカードらしくなります。
※記事の情報は2020年11月18日時点のものです。
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【PROFILE】
今道しげみ(いまみち・しげみ)
リビングフォト主宰 フォトグラファー
神戸女学院大学を卒業後、全日本空輸の客室乗務員として勤務。
1990年よりLondonでフラワーデザイナーとして活動を始める。
2005年より、東京・久我山でサロンスタイルの写真教室『LIVING PHOTO』を主宰し商標登録も取得。
全国からの受講生は5000人を超え、オンライン講座も開催中。
ニコンカレッジ講師。APA日本広告写真家協会正会員。
⇒LIVING PHOPTO Home Page
http://livingphoto.jp/
⇒Instagram
https://www.instagram.com/livingphoto88/
⇒You Tube 今道しげみ
https://www.youtube.com/channel/UCMwRQO6MsZXxEaKJbwmXxoQ?view_as=subscriber
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