見方を変えると、意外なものも「文房具」になる

APR 5, 2022

菅 未里 見方を変えると、意外なものも「文房具」になる

APR 5, 2022

菅 未里 見方を変えると、意外なものも「文房具」になる モノを書くことを覚え始めた幼少期からずっと身近にあるペンやノートなどの文房具。いま改めてその世界を覗き込めば、使い心地、デザイン、遊び心やユニークさなど、多様なアイテムがあり、進化を遂げていることに驚かされます。連載「創造する人に役立つ文房具」では、文具ソムリエール菅未里さんに、数ある文具の中から「使うことでクリエイティブな気持ちになれるアイテム」をご紹介いただきます。

ある日、私の所に不思議な連絡がありました。ミュージシャン向けのグッズを作っている会社から、SNSでのPRの依頼をもらったのです。


なぜミュージシャン向けの会社が私に......? と思いながらお話をうかがったところ、納得できました。そのアイテムは、ペンケースとしても優秀だったのです。




ペンケースにもなるツール入れ

J.Noteの「ライブポッド」は、ミュージシャン向けのツール入れです。ペンケースを2つくっつけたような独特の形は、譜面台のポールを(内蔵しているマグネットの力で)挟み込んでツール入れを固定するためです。


J.Note「ライブポッド」


J.Note「ライブポッド」 ツール入れに内蔵するマグネットでポールを挟み込んで固定する


演奏や作曲をするミュージシャンは譜面に書き込みをするので、鉛筆などの筆記具も譜面台に置きます。しかし、筆記具を置くための専用スペースは譜面台にないため、筆記具が譜面台から落ちやすいことが悩みでした。そこでこの「ライブポッド」で専用スペースを確保することにしたというわけです。


ミュージシャンが使うメトロノームやチューナーなども置き場所がなくて困ってしまうのですが、最近はスマートフォンのアプリで代用することも多いため、「ライブポッド」はスマートフォンを入れられるサイズになっています。こうしてミュージシャンが使うさまざまな道具を入れる「ツール入れ」が誕生したのです。


しかし、これをペンケースとして捉えると、非常に使い勝手がいいことが分かりました。ケースを開くと机に自立してペンや小物がコンパクトにまとまりますし、背面にはゴムの滑り止めが付いているため、机に平置きしても滑りません。内部には譜面台のポールを挟むためのマグネットが入っているので、スチールの壁に貼り付けることもできます。


J.Note「ライブポッド」 スチールの壁面ならマグネットの力で留められる


持ち運びやすいのも強みですね。譜面台のポールを挟む代わりにショルダーバッグの肩ひもを挟めば、バッグに入れずに持ち運べます。バッグに収納するときも、広げた形で入れれば厚みが半分になりますので、場所を取りません。


日常的に使うスマートフォンも持ち運べます。


J.Note「ライブポッド」


J.Note「ライブポッド」




頭を柔らかくして、クリエイティブな使い方を探してみる

このように「ライブポッド」は本来、文房具ではないのですが、文房具としてもとても優秀であることが分かります。


J.Note「ライブポッド」


そういえば、私は以前こちらの連載で取り上げたレイメイ藤井の立つ文房具入れ「デテクールコンボ」を化粧品入れとして使っています。これは文房具を、本来想定されていない用途に使った例ですが、「文房具」と「それ以外」の境界線は、意外と低いのかもしれません。


身近な日用品である文房具は、他の用途に使える場合も少なくないはずです。逆に、文房具ではないアイテムを、文房具として使うこともできるかもしれません。


今、目の前にあるものに対して、頭を柔らかくして別の見方をしてみる。すると、意外な価値が見つかるかもしれません。それも創造的な行為と言えるでしょう。



【ご紹介したアイテム詳細はこちら】
J.Note「ライブポッド」


※記事の情報は2022年4月5日時点のものです。

  • プロフィール画像 菅 未里

    【PROFILE】

    菅未里(かん・みさと)

    文具ソムリエール。
    文房具販売・仕入れ担当を経て、文房具の専門家として独立。
    国内外で商品や売り場の企画・監修、各種メディア出演、メーカーのコンサルティング、執筆などを行っている。日経MJなど連載多数。

    著書に『私の好きな 文房具の秘密』(エイ出版社)、『仕事を効率化する ビジネス文具』(ポプラ社)、『毎日が楽しくなる きらめき文房具』(KADOKAWA)、『文具に恋して。』(洋泉社)がある。

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