【連載】食べて、学んで、楽しめる!道の駅
2024.08.27
守屋之克
道の駅キュレーターおすすめ! ソフトクリームがおいしい道の駅10選
連載「食べて、学んで、楽しめる!道の駅」の第4回のテーマは、全国の道の駅で楽しめる、地域食材を使った「ソフトクリーム」。道の駅キュレーターの守屋之克(もりや・ゆきかつ)さんに、まだまだ暑いこの季節におすすめの「ご当地ソフト」を教えていただきました。
ソフトクリームは道の駅グルメの代表格
ご当地感のある道の駅グルメの代表格といえば、やはりソフトクリーム。定番のミルクタイプのものから昨今流行りの写真映えするものまで、さまざまなものが揃いますが、今回は中でもその地域の食材を使った「ご当地ソフト」をご紹介します。
もっとも以前から山梨の「巨峰ソフト」などは有名でしたし、注文するのに勇気が必要な変わり種もたくさんありました。例えば滋賀県の道の駅では強烈な匂いで知られる鮒(ふな)寿司をイメージした「ふなずしソフト」があったり(意外とさっぱり食べられた!)、高知県の道の駅ではカツオ節を上からまぶした「カツオソフト」があったりと、味はともかく、こういったメニューは定番になりにくい側面はあります。
ただ、試行錯誤しながらメニュー化にたどり着いたはずなので、全国の道の駅を回る中で気になったものはチェックしてきました。今回はそんな「ご当地ソフト」の中から、選りすぐりのものをピックアップしてみました。
全国の道の駅で食べられる! 地域食材を使った「ご当地ソフトクリーム」
■道の駅 くるくるなると(徳島県鳴門市)
生絞りすだちソフト / 450円(1日10食限定)
柑橘系はご当地ソフトに使われる食材でも定番で、多くの道の駅で提供されていますが、こちらは徳島名産の焼き魚などの添え物として使われる、すだちを大胆にソフトクリームに添えた、見た目からしてインパクトのある一品。
すだちの果汁を絞りながら食べますが、生地に練り込まれているタイプと違い、ミルクソフトの甘みと合わさって爽やかな酸味が口の中に広がります。
「道の駅 くるくるなると」は2022年に開業。関西方面から四国への玄関口の道の駅として、さつまいもの鳴門金時をはじめとしたさまざまなグルメが堪能できます。ソフトクリームの上に鳴門金時がのっている「鳴門金時うずまきソフト」も人気です。
■道の駅 桜島(鹿児島県鹿児島市)
桜島小みかんソフト / 300円
こちらも柑橘系ですが、ギネス認定された世界一小さなみかんを使用しています。12月にしか出回らないので果実を見る機会は少ないですが、菓子やジャムなどに加工されて道の駅でも販売されています。
味はみかんそのもの。酸味というよりもフルーティーな感じでしょうか。同じくギネス認定された世界一大きな桜島大根も道の駅の名物というのも面白いところです。
桜島観光の拠点ともいえる「道の駅 桜島」。レストランでは、カンパチの刺身や小みかんを使った、ご当地を意識したメニューが味わえるのもうれしいところです。
■道の駅 キララ多伎(島根県出雲市)
いちじくソフト / 350円
出雲市の多伎町は昔から蓬莱柿(ほうらいし)いちじくの栽培が盛んな地域でしたが、日持ちしないため地元で消費されるか、加工品にされるのがほとんど。そんな貴重ないちじくを使ったソフトクリームは道の駅の名物です。
味は独特の柔らかい甘さが特徴。フルーティーさもありつつ、実の中にある粒のプチプチとした食感も楽しめます。駅舎の目の前から広々とした海が見渡せるので、さらに思い出深い味わいになるはずです。
「道の駅 キララ多伎」は日本海を見下ろす場所に建っていて、特にここから見る夕日は美しいです。特産のいちじくを使った加工品も多数販売されていて、お土産選びも楽しい道の駅です。
■道の駅 たがみ(新潟県田上町)
梅味噌ソフト / 450円
新潟県有数の梅の産地、田上町にある道の駅では、地域のブランド梅「越の梅」を使ったお菓子などを販売しています。梅をクリームに練り込んだ「梅ソフトクリーム」もありますが、ぜひ味わってほしいのがこちら。
地元農家の味噌と梅シロップを混ぜて、ミルクソフトにかけ、その上に地元の小学生が育てたお米をポン菓子にしてトッピングしています。甘じょっぱい味と梅の爽やかさ、ポン菓子の食感も加わった絶妙な一品です。
「道の駅 たがみ」は2020年に開業。店内はセレクトショップのような洒落た空間で、掘り出し物を探す感覚でお土産選びが楽しめます。
■道の駅 尾瀬かたしな(群馬県片品村)
花豆ソフト / 450円
花豆は紫色の大粒の豆で、冷涼な土地でしか栽培できない貴重な品種です。片品村も産地になっており、これをソフトクリームに練り込んでいます。
豆と聞いて粉っぽい食感を想像しましたが、口当たりは滑らか。花豆の甘みが後からほのかに感じられる上品な味わいでした。和菓子好きの方ならきっと気にいると思いますよ。
尾瀬の玄関口にある「道の駅 尾瀬かたしな」は決して大きな道の駅ではありませんが、直売所、食堂があり、足湯も併設されています。湧水もくめるので、ペットボトル持参で行くのがおすすめです。
■道の駅 なみえ(福島県浪江町)
甘酒ソフト / 380円
東日本大震災で被災した浪江町。その復興の象徴として誕生したのが「道の駅 なみえ」です。併設する形でオープンした「なみえの技・なりわい館」には、震災で避難を余儀なくされていた老舗酒蔵「鈴木酒造店」が戻ってきていて、酒蔵の見学や試飲(有料)もできます。
味わってほしい甘酒ソフトは、ノンアルコールなのでドライバーやお子さんでも安心。麹(こうじ)独特の甘い香りと上品な後味が楽しめます。酒升を模した紙製の容器に入れてもらえるのもビジュアル的に良いですね。飲む点滴とも言われる甘酒を使った、暑いこの時期にぴったりなソフトクリームです。
「道の駅 なみえ」には福島県の「推しポケモン」ラッキーをモチーフにした公園を併設。食堂では名物「なみえ焼きそば」も味わえます。
■道の駅 天城越え(静岡県伊豆市)
わさびソフト / 400円
変わり種の中でも癖になる味をひとつ。伊豆の特産わさびを使ったソフトクリームです。この道の駅では2カ所で異なるタイプを販売していますが、味わってほしいのは「天城わさびの里」のもの。
なんと、ミルクソフトの上に生わさびが大胆にのっています。こわごわスプーンで混ぜながら食べますが、量を誤ると鼻の奥からツーンと独特の辛みがやってきます。それでも爽やかな香りが足されて容易に完食できます。一度は試してほしいご当地ソフトです。
自然公園「昭和の森」の一角が「道の駅 天城越え」になっていて、庭園は紅葉の名所としても知られています。レストランでは、すりおろしたわさびをご飯の上にのせて食べる「わさび丼定食」が人気です。
道の駅キュレーターが選ぶ「また食べたい!ご当地ソフト」ベスト3
ここからは、これまで食べたご当地ソフトの中で私がまた食べに行きたいものを3つ、ランキング形式で発表していきます。
■第3位
道の駅 いたの(徳島県板野町)
阿波和三盆ソフト / 380円
まずは徳島の名産である阿波和三盆糖を使ったソフトクリーム。和の高級食材にも数えられていますが、こちらではその上品な甘みを絶妙な調合でソフトクリームに練り込んでいます。
甘いソフトクリームが輪をかけて甘くなるのでは、という思いもありましたが、ひと口食べると驚きます。柔らかな甘みは奥の方にあって、むしろさっぱり味わえます。コーンの甘さの方が勝っているくらいで、想像以上のおいしさでした。ほかでも和三盆糖を使ったソフトクリームを食べてみましたが、こちらのものはまさにワンランク上の味わいでした。
春にんじんの生産量が日本一の板野町だけあって、「道の駅 いたの」では「にんじんドレッシング」や「にんじんソフトクリーム」(季節限定)など、にんじんを使ったさまざまな商品を展開しています。具の種類が豊富なおにぎり屋さんもおすすめです。
■第2位
道の駅 みそぎの郷きこない(北海道木古内町)
みそぎの塩ソフト / 300円
木古内(きこない)で行われる、豊漁豊作を願い、厳冬の海に入る伝統神事「寒中みそぎ」。その神事の行われる海水を煮詰めた塩は、地域の文化にちなんだ「みそぎの塩」という商品としてブランド化されています。道の駅でも「ぱくぱく塩パン」などに使用され、人気を博しています。
こちらはクリームに塩を混ぜるタイプではなく、上から塩ソースをかけています。味は意外にも濃厚。ミルクソフトの旨みを塩味が強調していて、チーズのような後味です。季節限定で塩いちごや桜塩などがかかったものもあるそうで、そちらも気になります。
北海道新幹線木古内駅の目の前にある「道の駅 みそぎの郷きこない」。レストラン「どうなんde's」(どうなんデス)では、木古内産はもちろん、海の幸や山の幸が豊富な道南エリアの各地から集められた食材を使った、本格イタリアンが味わえます。
■第1位
道の駅 お茶の京都 みなみやましろ村(京都府南山城村)
村抹茶ソフトクリーム / 430円
お茶を使ったソフトクリームは全国にありますが、道の駅で食べた中で一番の濃厚さを感じたのが、こちら。宇治茶の産地だけあって、貴重な抹茶をふんだんに使ってこの味に仕上げています。
見た目からしてすでに抹茶色ですが、味も抹茶そのもの。苦みと爽やかに香る風味、さっぱりした後味と、抹茶ソフトの常識を覆されます。上からは抹茶ソースがかかっているので、さらに濃厚な味わい。季節限定でほうじ茶や紅茶、煎茶もラインナップに加わるので、ぜひリピートして味わってみてください。
「道の駅 お茶の京都 みなみやましろ村」はショップと食堂だけのシンプルな道の駅ですが、ソフトクリームだけでなく、道の駅で販売する商品もお茶づくし。抹茶を使ったプリンやパウンドケーキなど、お土産も魅力です。連載第1回「地域産品で町おこし。ご当地の"おいしい"が詰まった道の駅3選」でもご紹介していますので、そちらもぜひご覧ください。
※価格は全て税込みです。
※記事の情報は2024年8月27日時点のものです。
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【PROFILE】
守屋之克(もりや・ゆきかつ)
道の駅キュレーター。地図会社ゼンリン発行の「道の駅旅案内全国地図」の編集長を2006年から2021年まで務め、全国の道の駅の特色や魅力を発信。誌面の編集だけに飽き足らず、プライベートでも愛車の軽キャンピングカーで現地に足を運ぶ。2022年に独立。「道の駅キュレーター」と名乗り、道の駅の専門家としてテレビ、ラジオなど多数のメディアに出演。念願だった全駅走破も果たし、その数は1200駅を超える。
■X(旧Twitter):https://x.com/moriyayukikatsu
■YouTube: https://www.youtube.com/channel/UC5dzBUllIgFMBHVZMn607gQ (道の駅兄弟)
■Stand FM:https://stand.fm/channels/61f11851299c4d500504ac1e (道の駅 for the Day)
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