車の中に常備したい車載用防災グッズ|最低限必要なものリスト。おすすめの無料防災アプリもご紹介

【連載】防災士おすすめ! 会社員のための防災グッズ

防災士:矢野きくの

車の中に常備したい車載用防災グッズ|最低限必要なものリスト。おすすめの無料防災アプリもご紹介

防災士の矢野きくの(やの・きくの)さんに、会社員として日ごろから備えておきたい防災グッズをご紹介いただく連載「防災士おすすめ! 会社員のための防災グッズ」。第3回は「車の中に常備したい車載用防災グッズ」です。車内に常備すべき、最低限必要な防災グッズを教えていただきました。また、災害時に役立つおすすめの無料防災アプリもご紹介します。

会社員のための防災グッズとして、ここまで第1回「オフィスに備えたい防災グッズ」、第2回「日常で持ち歩くべき携帯用防災グッズ(防災ポーチ)」をご紹介してきました。さらに必要なのが、車に常備しておく防災グッズです。




【目次】




車載用防災グッズを備えるべき理由

自然災害はいつやってくるかわからないので、車通勤している人はもちろんのこと、社用車で動き回る人、休日だけ車に乗る人も防災グッズを積んでおく必要があります。


また大きな地震で万が一、家が倒壊してしまった場合でも、駐車場に駐めている車は被害がないことも往々にしてあり、車に積んでおいた防災グッズを活用できるという点でも重要になってきます。




〈車載用防災グッズを用意する前に〉想定される災害状況を把握する

車載用の防災グッズを用意する前に、自分の日頃の行動範囲からどのような災害に遭遇する可能性があるか、把握する必要があります。


東日本大震災のとき首都圏でも大渋滞となり、何時間も車が動かなかったこともありました。雪が降る地域の場合も、たった1台の車のスタックが原因で後続車が立ち往生となり、数日間動けなくなるというニュースを見たことがある人も多いでしょう。


また近年では、過去には想定されなかったほどの集中豪雨で洪水となることも毎年のようにあります。アンダーパス*に入ってしまったら、水位が高く車が動かなくなってしまったり、突然、川が氾濫してあっという間に車が浸水することもあります。


このような自分の行動範囲で起こり得る災害を、ハザードマップを確認しながら想定して、車載用防災グッズを用意するようにしましょう。


* アンダーパス:立体交差で、掘り下げ式になっている下の道路。




最低限備えておきたい車載用防災グッズ【必要なものリスト】

・水と食料

どのような災害のときでも、水と食料は必要です。車に常備する場合は長期保存できるものを積んでおくといいでしょう。賞味期限があるものは、テープなどに年や日付を書いて、収納コンテナの外側に貼っておくと、交換時期がわかりやすく便利です。


水と食料賞味期限があるものは、年や日付を書いて貼っておく

・携帯トイレ

長時間の渋滞などではトイレに行きたくなる場合もあります。そのようなときに備えて、車にも簡易トイレを防災グッズとして入れておきましょう。


トイレをしているところを周りの車から見られないように、隠すものも用意しておくのが理想的です。連載第2回でも紹介しましたが、90Lサイズの黒いゴミ袋の底をカットしたものを用意しておくと、ポンチョのようにして使うことができます。

・防寒具

被災時の防寒は水や食料と同じくらい重要になります。また立ち往生のときなどは、ガソリンを消費しないようにエンジンを切る時間もあるので、エアコンが使えないというシーンも考えられます。


古くて着なくなったダウンジャケットやコート、毛布、キャンプをする人であれば寝袋を積んでおくのもいいでしょう。キャンプ用の防寒になるシートを備えておくのもおすすめです。


防寒具ダウンジャケットなどの防寒具を用意

・ライト

ガソリンを節約するため、夜でも車内の照明を消す場合もありますし、辺り一帯が停電になっている状況も考えられます。


懐中電灯となるものを防災グッズとして積んでおくのはもちろんですが、水害などを考えると、水の中でも点灯するケミカルライトも入れておくといいでしょう。ケミカルライトはポキッと中央を折って発光させる使い捨てライトで、24時間や72時間点灯タイプなどがあります。ただし、液体が飛び散る可能性がありますので、お子さんがいる場合には注意が必要です。


ライト100均で買えるケミカルライト。ポキッと中央を折ると発光する

・脱出用ハンマー

車が洪水にのまれ、ドアが開かなくなったり、車に衝撃が加わってシートベルトが外れなくなくなることがあります。そんなときのために、脱出用ハンマーも積んでおくと安心です。緊急時はパニック状態になる可能性も高いので、使い方がわからないときに備えて、説明書(箱)などがあれば一緒に入れておくことをおすすめします。


脱出用ハンマーサイドガラスを割れて、シートベルトを切れる「ブレイクハンマー(イエロー)」(大橋産業株式会社)。使い方がわかるよう、説明書が記載された箱も一緒に保管しておく

・軍手

周りの災害状況によって、障害物をどかさなければならないなどの状況が考えられます。そのようなときのために、軍手も防災グッズとして必要です。

・スコップ

降雪時の立ち往生でエンジンをかけたまま、マフラーが積雪で埋まってしまうと、床下にたまった排気ガスがボディの隙間や外気導入口から車内に入り込み、一酸化炭素中毒になる恐れがあります。そうならないよう、マフラー周りの雪を避けるために、スコップが必要になってきます。


スコップ収納時はコンパクトに折りたためるスコップ




車載用防災グッズの収納場所や入れ物は?

車は限られた空間であることと、直射日光にさらされる時間が長い場合もあるので、どこに防災グッズを収納しておくかも重要になります。

■緊急性が高いものは、そのまますぐ手に取れる場所に収納

例えば、脱出用ハンマー、ライト、携帯トイレなどの緊急性が高いものは、入れ物に入れずに、そのまますぐ手に取れる場所に収納しておきましょう。


ダッシュボードの中は、車種によってはエアバッグが作動した状態や、シートベルトがロックされた状態、またはその両方の状態において、手が届かない可能性があります。そのような状態でも確実に取れる場所として、センターコンソールボックス内やシート側面がおすすめです。


ダッシュボードセンターコンソールボックス内に収納しておくと、車内ですぐに取り出せる

■飲食料は外気の影響を受けないよう、コンテナに入れてトランクに収納

食料や飲料は、太陽の光の影響を受けないほうがいいので、トランクに入れます。収納の際、コンテナに入れておくと外気の影響を受けにくいです。防寒具などの衣類は、入れ物にそこまで気を遣う必要はないですが、トランクに常備しておきましょう。


 コンテナ、トランク飲食料はコンテナに入れて(左)、防寒具などとともにトランクに常備する(右)




防災士おすすめ! スマホに入れておきたい無料の防災アプリ4選

スマートフォン(スマホ)が広く普及し、さまざまな情報をスマホから得られるようになりました。中でもぜひ活用したいのが防災アプリです。自分がいるその場所、そのときの災害情報や防災情報をピンポイントで得ることができ、次にとる手段を判断するのに役立ちます。


ここではおすすめの代表的なアプリをご紹介します。

① 特務機関NERV防災

特務機関NERV防災(画像出典:特務機関NERV防災


情報の速報性で定評のある防災アプリです。実際に地震が発生した際など、テレビの地震速報やその他防災アプリの速報よりも早く通知がきて、自分のいる場所があと何秒後に、どれくらいの震度で揺れるかがわかります。英語版もあり、アメリカ海軍横須賀基地の公式Facebookアカウントで、推奨されたこともあるほど高評です。


地震以外に、気象情報(警報・注意報)、河川水位情報、台風進路予報なども得られ、避難所や道路の通行状況などをユーザー間で共有する機能もついています。

② NHK ニュース・防災アプリ

NHK ニュース・防災アプリNHK ニュース・防災アプリ(画像提供:日本放送協会)


日々のさまざまなニュースを読めるアプリです。災害時などの緊急事態のときは、NHKのニュース番組をアプリで観られるという特徴があります。災害時、テレビがない場所にいると不安になるものですが、スマホでNHKのニュースを観られるのは安心感にもつながります。

③ Yahoo!防災速報

Yahoo!防災速報Yahoo!防災速報(画像提供:LINEヤフー株式会社)


現在地に加え、地域を3カ所設定できるので、家族がいる場所の災害の速報などを入手することができます。災害の速報以外にも、ハザードマップや避難場所マップなども兼ね備えたアプリです。


また、地震、津波、大雨危険度、土砂災害、河川洪水、熱中症など、情報別に通知の設定が可能。通知方法も通知音の種類やマナーモードでも鳴らすかどうかなど、細かく設定ができます。

④ TBS NEWS DIG 防災・ニュース・天気 by JNN

TBS NEWS DIG 防災・ニュース・天気 by JNN(画像出典:TBS ニュースサイト)


TBSテレビのアプリ。"命を守るニュースアプリ"とサブタイトルがついているように、日々のニュース以外の情報も豊富です。先にご紹介した「特務機関NERV防災」のゲヒルン株式会社がパートナー企業のため、テレビでの緊急地震速報よりも速い震度の予想、地震波の到達予想時間など多くの情報を得られます。


設定した地域の気象注意報・警報のほか、アプリ内で気象庁のキキクルで浸水・洪水・土砂災害を確認することも可能です。


今回ご紹介した4つのアプリ以外にも、都道府県別に防災アプリや防災サイト、LINEアカウントを出しているところもあります。よりピンポイントの地域の詳しい情報が得られるので、居住地や勤務地の自治体がどのように情報を発信しているか確認してみましょう。


自然災害の発生は防げませんが、その後の被害は防災対策で減らせます。災害はいつくるかわからないもの。ぜひ、今日からでも防災に取り組んでください。


※記事の情報は2025年3月11日時点のものです。

  • プロフィール画像 防災士:矢野きくの

    【PROFILE】

    矢野きくの(やの・きくの)
    家事アドバイザー・防災士・食育指導士・節約アドバイザー
    効率化を考えた家事術、暮らしの中での防災などを中心に、テレビ、講演、コラム連載などで活動。働く人向けの時短家事術、シニア層への家事改革などをアドバイス。「防災士」の資格を持ち家庭での備え、「食育指導士」の資格も持ち、食品ロス削減をテーマにした講演も定評がある。100円ショップや業務用スーパーでのお得な買い物術の紹介や、便利グッズの開発にも携わる。
    【テレビ出演】あさイチ、ニュースウオッチ9(NHK)/情報ライブ ミヤネ屋(日本テレビ)/ゴゴスマ~GOGO!Smile!~、Nスタ(TBSテレビ) 他。【連載実績】HONDA・東芝・イオン等企業のオウンドメディアや、日経新聞・時事通信 他。【著書】「幸せな時間とお金を生み出す! シンプルライフの節約リスト」(講談社) 他。

    公式サイト https://yanokikuno.jp/

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