世界チャンピオンを目指す最年少プロ。ビリヤードの楽しさを広めたい

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奥田玲生さん ビリヤード選手〈インタビュー〉

世界チャンピオンを目指す最年少プロ。ビリヤードの楽しさを広めたい

2020年、18歳で国内現役最年少のビリヤードプロ選手となった奥田玲生(おくだ・たまみ)さん。10代の頃から世界大会で活躍し、2019年には「ナインボールアジア選手権 ジュニア女子ダブルス」で日本人として初優勝したほか、「ナインボール世界ジュニア選手権 女子の部」で準優勝を果たしました。ビリヤードの楽しさを多くの人に広めたいという奥田さんに、プロになるまでの道のり、ビリヤードの魅力や今後の夢などをうかがいました。ビリヤードの基礎知識や初心者が押さえておきたいポイントもご紹介。取材は奥田さんの活動拠点のひとつ「Link 相模原店」(神奈川県相模原市)にて行いました。

両親の影響で始めたビリヤードは、幼少期からの習慣

──奥田さんは10代の頃からビリヤード選手として活躍されていますが、どのようにビリヤードと出合ったのですか。


両親の若い頃からの趣味がビリヤードでした。台(テーブル)にまだ背が届かない7歳の時、両親にビリヤード場へ連れて行ってもらったのがきっかけで始めました。最初はそんなに好きではなくて、ただ親について行くだけでしたが、球が初めて穴(ポケット)に入った時、音がすごく気持ちよくて、ビリヤードの魅力に目覚めたんです。


8歳頃から親の勧めで、ビリヤード場主催の小さな試合に少しずつ出るようになり、高校生になった16歳の時から1人で練習や試合に行くようになりました。試合を重ねて相手に勝ったりするうちに楽しくなっていきました。


──子どもの頃からビリヤード漬けの日々だったのですか。


学校から帰ってきたらすぐ、夕方5、6時からビリヤード場に行って、毎日4時間くらいは練習していました。休みの日は8時間くらい。ご飯を食べる、お風呂に入るのと一緒でビリヤードは日常生活のひとつでした。


──毎日打ち込んで、嫌になってしまうことはありませんでしたか。


試合で負けた原因など、自分のミスについて親と話すうちに、ビリヤードの楽しいところが見えなくなってしまい、小学5、6年生くらいの時に1年ほどやめた時期がありました。友達と遊ぶ時間もほとんどなかったので、だんだん辛くなってきました。でも、ビリヤード場で1球ずつ交代で突く「ペアマッチ」という試合があって、「遊びで出てみようかな」と軽い気持ちで出たら、たまたま優勝しちゃったんですよ。その試合がすごく楽しくてまた続けるようになりました。


奥田玲生さん




前年の苦しみを乗り越え、2019年「ナインボール世界ジュニア選手権」で準優勝

──勝つことのうれしさ、楽しさが奥田さんにとっての原動力なのですね。


そうですね。逆に負けるととても悔しいです。2018年、16歳の時に出た「ナインボール世界ジュニア選手権」では、2敗で予選落ちしてしまい、決勝トーナメントに進めませんでした。この年は、高橋邦彦(たかはし・くにひこ)プロ(1998年「ナインボール世界選手権」優勝)にご指導いただきながら、悪い癖を直すためにフォームを変えたばかりの時期でした。フォームがぐちゃぐちゃに崩れてしまって、思うようにプレーできなかったんです。その時はもうやめようかなと思ったくらい、今までで一番辛かったです。


──それをどのように乗り越えたのですか。


すぐに高橋プロに電話したら、「来年は絶対勝てるから大丈夫だよ。絶対いける! 保証するから」と言ってもらえて、それがすごく励みになりました。その言葉でまた頑張ろうって思えたから、続けられました。


──そしてその言葉通り、翌2019年には「ナインボール世界ジュニア選手権」で見事、準優勝を果たしましたね。


2019年の世界ジュニアは今まで出場した大会の中で、一番印象に残っています。世界ジュニアでは男女1人ずつしか日本代表になれないので、出場までたどり着くのが毎年大変なんです。まず「全日本ジュニア選手権」でいい成績を残して日本代表になったら、その後「アジア選手権」がある。そこでも出場した日本人の中で一番いい成績をとって、ようやく世界ジュニアへの出場権が与えられます。


その1年間は全部、11月開催の世界ジュニア選手権のために時間とエネルギーを費やして練習していました。もちろん優勝できなかったことは悔しかったのですが、それ以上に準優勝までたどり着けたことがすごくうれしかったです。


「ナインボールアジア選手権」のジュニア女子ダブルスで優勝したのも、「鹿児島国体記念大会(全国アマチュアビリヤード都道府県選手権大会)」で優勝したのも、同じ2019年なんです。前の年は辛かったけど、我慢して1年間頑張った結果、高橋プロの言うとおりになったので、報われたと感じました。


奥田玲生さん2019年「ナインボール世界ジュニア選手権」で獲得した銀メダルとともに


奥田玲生さん銀メダルは現在、奥田さんの活動拠点のひとつ「Link相模原店」のショーケースに飾られている



18歳の時、現役最年少のプロ選手になる

──2020年、18歳の時にプロテストに合格し、現役最年少で日本プロポケットビリヤード連盟(JPBA)所属のプロ選手になりました。10代でプロになろうと決意した背景には、どのような思いがあったのでしょうか。


アマチュアとしてプロの公式戦に出場した17歳の時、プロの方々と同じ舞台で戦うことができていないと感じました。アマチュアとプロでは心構えが全く違う。自分の今後を懸けるつもりでないと世界で戦えないと感じたんです。それで中学で進路を考える時に、高校を卒業したらプロになろうと決めて、練習時間を増やすために通信制の高校に進学しました。また高校時代に高橋プロからプロになることを勧めてもらったことも、背中を押してくれました。


──プロになる前も後も、奥田さんにとって高橋プロの存在が大きいように思います。


高橋プロには16歳からプロになる頃まで、基礎的なことからメンタルなど、さまざまなことを教えていただきました。試合中も諦めない気持ちを常に持つことを教わって、精神面でも成長できました。16歳当時の私が上達するためにはたくさんのことを変えていく必要があったので、高橋プロからは「下手で教えるのが大変そうだから、最初は教えたくなかった」と後々言われました(笑)。高橋プロが世界で活躍されてきた経験を惜しみなく、私に教えてくださったからこそ、今の私があると思っています。


──プロになってから心境の変化はありましたか。


プロになる前は勝っても負けても後悔しないようにと、自分中心に考えていましたが、今は周りの方々に支えてもらって自分があるので、自分のためだけではなく、たくさんの人に見てもらって喜んでもらいたいと思うようになりました。周りから見られることへの意識も変わりましたね。自分の見え方によってビリヤード全体のイメージに影響を与えることもあると思うので、プロとしてより華やかに見えるように心がけています。


奥田玲生さん




ビリヤードは頭を使うスポーツ。「超難しくて面白い」

──高校を卒業し、プロ選手になって3年経ち、現在はどのような生活を送っていますか。


両親と一緒に暮らしていて、普段は練習したり試合に出たり、ジムに行って体幹を鍛えたりしています。それから月に4回ほど、「アストロ鶴ヶ峰」(神奈川県横浜市)でインストラクターとして個人レッスンを行っています。


──奥田さんにとってビリヤードの魅力とは何ですか。


ただ球を入れるだけではなく、難しい局面になった時に「セーフティー」といって、相手が球を入れにくい配置をあえてつくったり、常に先のことを考えながら的球(まとだま)の位置を調整したり、頭を使うところが超難しくて面白いところだと思います。頭で考えて、そのイメージ通りに突けないと勝てないですから、頭とプレーのどちらの能力も必要で、すごく奥深いんです。


また、老若男女問わず楽しめるのもいいところだなと思います。プロ選手には60代で活躍されている選手がいますし、ここ(Link相模原店)に来ているお客様の中にも70代の方がいて、ずっと元気にビリヤードを楽しんでいるんです。そういう姿を見ると、長く続けられる生涯スポーツだなと感じますし、すごく頭を使うので、ご高齢の方の脳のトレーニングにもなると思います。力がない女性でも、男性に勝つチャンスがある競技でもあります。


奥田玲生さんブレイクショット(ゲーム開始時の最初のショット)で焦点を狙う奥田さん


──頭脳戦だから精神力や集中力も求められそうですね。


そうですね。頭を使うから糖分は必須で、頭の回転をよくするために、試合の合間にはお菓子のラムネを食べたりしています。カーリングのもぐもぐタイムと同じです。試合前には今までやってきたことや自分の気持ち、今の精神状態などを紙に書き出すことで、集中力を高めています。言葉にすることによって、今の自分の状態をより理解することができるんです。


その時々の運に左右される競技でもあるので、ゲン担ぎも意識して必ず家を掃除してから試合に行ったり、日ごろから善い行いをして、規則正しく生活するように心がけています。「ずっといいことしてきたから、大丈夫。運がついてるはず!」と思って臨む方が気持ちよくプレーができるからです。


──身体的にはどんなトレーニングが必要なのですか。


体幹が重要なので、ジムで足腰を中心に鍛えています。ずっと前かがみの姿勢なので、体に相当負担がかかっていると思います。最低でも1試合1時間は立っていて、プロの試合だと1日5、6試合やるので、頭も足もすごく疲れてきます。激しく運動するわけではないけど、足、背中、お腹など、意外と全身を使うんですよ。


奥田玲生さんジャンプショット(手球[てだま]をジャンプさせるショット)直前の様子



元々は紳士的な競技。昔のイメージは一変

──今の服装は普段、試合でも着ているものですか。すてきですね!


そうです。こういうおしゃれな服を試合で着られるのも、ビリヤードの楽しさだと思いますね。元々はヨーロッパの紳士的なスポーツとして生まれたものなので、黒のスラックスに革靴など、カジュアル過ぎないきっちりとした服装は、昔から変わらないです。私は女性のプレーヤーとしてなるべく華やかに見えるような、ふわっとしたものやキラッと光るものなど、見栄えがいい服装を選んでいます。


奥田玲生さん試合でも着ているという、取材時のファッションスタイル。ふんわりとした袖や、胸元のレースとアクセサリーが優雅な雰囲気を醸し出している


──日本では今、一般の人がビリヤードに触れる機会はなかなか少ないですよね......。


昔「ハスラー2」(1986年)というアメリカの映画が流行った時に、日本でもビリヤードのブームが来て、一気に広まったのですが、それ以降、競技人口は減少傾向にあるのかなと思います。難しい競技だからこそ、面白さが伝わりにくいという面もあるかもしれません。でも1回やれば奥深いので抜け出せなくなると思います。


──昔はギャンブル(賭け事)としてビリヤードをやる人が多く、悪いイメージを持つ人も多かったのではないかと思います。そのことも影響しているのでしょうか。


まだ悪いイメージを持つ人はいるかもしれませんが、その時代を知らずに近年始めた人が増えてきており、世間の認識も変わってきたと思います。昔はたばこを吸えるビリヤード場が多かったのですが、今は法律で禁煙や分煙になって、店舗の空気もクリーンになりました。私自身は子どもの頃からビリヤードに全く悪いイメージはありませんでしたし、そもそもたばこもギャンブルもやりません。




世界選手権で優勝し、ビリヤードの楽しさを広めたい

──今後ビリヤードをさらに普及させるためには、どんなことが必要だと思いますか。


一般の方がビリヤードに触れる機会がもっと増えればいいなと思っています。細かいルールがあってやり方が分からず、とっつきづらく感じてしまう人も多いと思うので、初心者にも難しくないと思ってもらえる、身近な競技になってほしいです。


そのために、全然知らない人でも見て「やってみたい」と思えるようなコンテンツを作ることがひとつだと思います。ルールやショットの種類を分かりやすく解説したり、体験する場を提供することです。また、小学校にビリヤード台が増えるといいなと思います。小学校で友達と遊ぶような感覚で楽しんでもらって、さらにはプロ選手になりたいと思う子どもが増えてくれたらうれしいです。

奥田さんのYouTube「奥田玲生のたまちゃんねる」では、レッスン動画や試合解説など、ビリヤードを分かりやすく伝えるさまざまな動画を投稿している


──普及するだけでなく、プロ選手を増やすところまでいきたいのですね!


はい。今の状況だとプロ選手になるのは経済的に難しい面があるので、目指そうとする人も少ないのかなと思います。私は両親に支えてもらいながら生活していますが、ビリヤードのプロ選手は大会の賞金だけでは生活できず、ほとんどの選手がほかの仕事と掛け持ちしながら生計を立てています。


国内戦で全試合優勝してようやく生活していけるかどうか。世界大会で優勝できれば、ビリヤードだけでも生活できるかもしれませんが、それでも渡航費や宿泊費が高いですからね......。ビリヤードの競技人口が増えることで、プロ選手がそれだけでも生活できるようになるようになって、プロになることがもっと夢のあるものになってほしいです。


奥田玲生さん


──ほかに夢や今後実現したいことはありますか。


目標は一番規模の大きな大会「世界選手権」で優勝することです。世界で活躍できる選手になることが小さい頃からの夢でした。日本人では、男性は過去に3人チャンピオンがいるのですが、女性はまだ1人もいないので、女性初の世界チャンピオンになることを目指しています。


私が選手として活躍することが、ビリヤードを広めるきっかけになればいいなという思いもあります。それと同時に、YouTubeの配信、初心者に向けたイベントや解説など、未経験の方にビリヤードの魅力を知ってもらえるような活動も同時に行っていきたいです。



初心者のためのビリヤード基礎知識

使う道具、フォーム、基本的なルールなど、初心者にも分かりやすいビリヤードの基礎知識を解説します。奥田さんには、普段使っている道具や初心者が押さえておきたいポイントを教えていただきました。


初心者のためのビリヤード基礎知識


◆ビリヤードとは
台の上で球をキューで突いて、点数を競う室内競技。台の四隅および長辺中央にある2つ、計6つのポケットに球を落としていく「ポケットビリヤード」、ポケットのない台を使う「キャロムビリヤード」、ポケットのある大きな台と小さな球を使う「スヌーカー」と、大きく分けて3つの種類がある。日本語では「撞球(どうきゅう)」と訳される。


◆使用する道具
・キュー:ボールを突くための木の棒。
・的球:1~15までの番号が書かれた球。
・手球:的球に当てるための白い球。
・ビリヤード台:長方形の台。石板の表面に「ラシャ」という布を張ったもので、周りはゴム製のクッションに囲まれている。
・ラックシート:ゲームの最初にラックを組む(的球を並べる)ために使う。
・チョーク:滑り止めとして、キューの先端(タップ)に塗る。


奥田さん:私は通常のプレーで使う「プレイキュー」、ブレイクショットで使う「ブレイクキュー」、ジャンプショットで使う「ジャンプキュー」の3本を使い分けています。


キューの真ん中から上を「シャフト」、下の太い方を「バット」といいます。シャフトはスペアとして、2本常備しています。手球が遠くて届かない位置にある時に使うのが「エクステンション」です。選手はチョークのほかに「やすり」も使います。やすりはタップに塗って先端の革をけば立たせることで、チョークののりをよくする効果があります。


初心者のためのビリヤード基礎知識奥田さんが使用している道具。左からブレイクキュー、ジャンプキュー、プレイキュー。中央奥に見える白い球が手球、2本の棒がスペアのシャフト、中央手前がエクステンション、右奥に並んでいるのが9個の的球、的球の下にラックシート、右手前がやすりと青のチョーク


奥田さん:プレイキューは、自分でデザインした「奥田玲生モデルキュー」を使っています。キューの販売・製造業者であるKeithAndy(キースアンディ)に作ってもらいました。シャフトには私の好きな紫色を使い、きらきらした貝リングを散りばめてかわいくしました。グリップ(持つ部分)はとかげの革、先端のタップは豚革でできています。


初心者のためのビリヤード基礎知識KeithAndyの「奥田玲生モデルキュー」。グリップ手前とシャフト部分にオリジナルのデザインが施されている(左の写真提供:奥田玲生さん)


◆基本のブリッジ
ブリッジとは、キューを支えるための左手(左利きの方は右手)の形のこと。ここでは初心者におすすめの2種類を紹介する。


・スタンダードブリッジ
人差し指と親指で作った輪にキューを通し、残りの指を広げて台にしっかりつける。こうすることで、ブレが少なくキューが安定する。


スタンダードブリッジスタンダードブリッジを突く側から見た様子(左)と外側から見た様子(右)


・オープンブリッジ
手のひらを台につけて、親指の根元を人差し指にくっつけるように持ち上げ、親指と人差し指の間にできた溝にキューをのせてスライドさせる。シャフトの全体が見えるため、キューの突く先が見やすい。


オープンブリッジオープンブリッジ


奥田さん:初心者の方にまず押さえていただきたいのがブリッジです。左手をしっかり組めるようになるのに、時間がかかると思います。少しでも動かないように、台から離れないように、この形をキープできるようになると、球を狙いやすくなります!



◆基本のフォーム ※右利きの場合
右腕の肘はキューに対して90度になるように曲げる。グリップは軽く握り、顔は正面を向き、利き目の下に顎、顎の下にキューがくるようにする。両足は膝を曲げずに肩幅くらいに開き、右足は半歩後ろに下げ、左足は一歩前に出して狙いの方向に向ける。お尻はピンと後ろに突き出す。左腕の肘は軽く曲げることで、ふところに余裕ができる。


奥田さん:しっかり低めに構えるのがポイントです。低めに構えられるようになると、球が入る確率もだいぶ上がると思います。私はこの構えの美しさにこだわっていて、フォームが一番の強みです。横から見た時が一番きれいだと思うので、ぜひ見てほしいです(笑)。


ブレイクショット時の姿勢ブレイクショット時の姿勢



◆ゲームの流れ
ビリヤードにはさまざまなゲームの種類がある。最もポピュラーで、世界中のトーナメントの場でも多くプレーされているのが「ナインボール」。今回はこのナインボールを例に、ゲームの進め方を紹介する。


~ナインボールとは~
1~9番の的球9個と手球を使い、台上にある最小番号の的球から順にポケットに落として、最後に9番ボールを落とした人が勝ちというゲーム。9番ボールはブレイクショットで落としても、ゲームの途中で偶然落としてもOK。とにかく9番ボールを先に落とした方が勝利となる。


①バンキングで先攻、後攻を決める
対戦前に、あらかじめ5ラック先取りや7ラック先取りなどとゲーム数を決めておく。その後「バンキング」を行い、先行、後攻を決める。


図1 バンキング図1 バンキング
先攻、後攻を決めるために行うショット。2人同時に短クッションに向かってショットし、球が自分側の短クッションにより近い場所に止まった方が勝ちで、先攻となる
※書籍「HOW TO ビリヤー道!」p.247 図2を基に図版作成


②ラックを組む(的球を並べる)
ラックシートの上に的球を並べる。並べ方はゲームの種類によって異なるが、ナインボールでは、ブレイクショットをする側から見たラックの手前の頂点に1番ボール、その後ろ3列目の中央に9番ボール、一番奥に2番ボールを配置する。そのほかのボールは任意の位置で構わない。


奥田さん:ボール同士の間に隙間がないように並べるのがポイントです。ラックシートを使えば、ナインボールのブレイクショット時に最低2つは球がポケットに入ります。とても便利です!


ラックを組む(的球を並べる)(左)フィルム製のラックシートは日本発祥。昔は木製やプラスチック製の「トライアングルラック」が使われていたが、緻密な計算の下に作られたシートで、より簡単に隙間なくボール同士を詰められるため、世界中に普及した
(右)ナインボールでのボール配置


③ブレイクショットでゲーム開始
先攻のプレーヤーが「ブレイクショット」を行ってゲーム開始。ブレイクショットは、図2に示したエリア「キッチン」であればどこから突いても良い。ナインボールの場合は、図2のAのように、長クッション寄りの位置から突いた方が何らかの的球がポケットに入る可能性が高い。


図2 ブレイクショット図2 ブレイクショット
ゲームの開始時に、組まれたラックに対して手球を突くショット
※書籍「HOW TO ビリヤー道!」p.248~p.249 図3、図4を基に図版作成


ブレイクショットの瞬間ブレイクショットの瞬間


この時に手球がポケットに落ちるなどファウルすることなく、いずれかの的球がポケットに入れば、先攻のプレーヤーがプレーを続行。ファウル、もしくはどの的球も入らなかった場合に、後攻のプレーヤーに交代する。


この要領で交代しながらプレーを続け、番号順に的球を落としていって最終的に9番ボールをポケットに入れたプレーヤーが1ポイントを獲得。これを繰り返して、あらかじめ決めておいたゲーム数に早く到達したプレーヤーが、対戦の勝者となる。


奥田さん:まずはポケットに球を入れることを目標に、難しいことを考えずに楽しくできたらいいと思います。ぜひトライしてみてください!


参考:
HOW TO ビリヤー道!―マンガでわかる! 上手くなる! 撞球(ビリヤード)入門書」(著者:大和なでしこ/出版社:BABジャパン)
ニューアート 公式サイト「0からはじめるビリヤード」―「どうぐのなまえ



【取材協力】
Link 相模原店

【取材協力】Link 相模原店


※記事の情報は2023年3月28日時点のものです。

  • プロフィール画像 奥田玲生さん ビリヤード選手〈インタビュー〉

    【PROFILE】

    奥田玲生(おくだ・たまみ)
    ビリヤード プロ選手。日本プロポケットビリヤード連盟(JPBA)所属。
    2002年3月18日、神奈川県生まれ。両親の影響で7歳からビリヤードを始め、14歳の時、ジュニア日本代表に選出される。2018年および2019年、「ナインボールアジア選手権 ジュニア女子シングルス」で3位を受賞。2019年、17歳の時に「ナインボールアジア選手権 ジュニア女子ダブルス」で日本人として初優勝したほか、「ナインボール世界ジュニア選手権 女子の部」で準優勝を果たす。2020年8月、18歳でプロテストに合格し、最年少のプロ選手となる(2023年3月現在も最年少)。2023年3月、全日本女子プロツアー第1戦で準優勝した。
    所属店:アストロ鶴ヶ峰店/Link相模原店

    Twitter
    https://twitter.com/billiard_love
    YouTube「奥田玲生のたまちゃんねる」
    https://www.youtube.com/channel/UCSwZPFvB5avvbWHKYEL8tfw

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