山内鈴蘭|ゴルフの素晴らしさをもっと伝えたい!

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山内鈴蘭さん タレント〈インタビュー〉

山内鈴蘭|ゴルフの素晴らしさをもっと伝えたい!

2009年から2021年までAKB48、SKE48で活躍した山内鈴蘭(やまうち・すずらん)さん。現在はタレントとしての活動に加えて、ゴルフアパレルブランド「Gorurun(ごるらん)」のプロデュースやYouTubeチャンネル「鈴蘭ゴルフチャンネル」での動画配信など、ゴルフの魅力をさまざまな形で発信しています。ゴルフやアイドルを始めたきっかけ、今後の展開について山内さんにお話をうかがいます。

写真:山田 健司

「お父さんともっと一緒にいたい」から始まったゴルフ人生

――9歳の時から本格的にゴルフを始めたそうですね。


本格的にゴルフを始めたのは9歳からですが、私が育った千葉県市原市は「ゴルフの街」といわれているくらいゴルフ場が多くて、家族旅行の時は必ずゴルフ場に行くくらいずっとゴルフが身近にありました。物心つく前からゴルフ場が遊び場だった、という感じです。


特にお父さんがゴルフ大好きで、週末はいつもお父さんと一緒にゴルフ場で過ごしていました。平日はお父さんと一緒にいる時間がとにかく少なかったんです。「同じ趣味を持つことで、お父さんと一緒にいられる時間が多くなるんだな」と子どもながらに感じていました。だから、「お父さんがやっていることは自分もやりたいな」と思ったのが、ゴルフを始めたきっかけですね。


ゴルフを始めたきっかけについて話す山内鈴蘭さん


――同じ趣味を持つことができて、お父様もうれしかったでしょうね。


うれしかったと思います。9歳の時の話なのですが、初めて7番アイアンで50ヤード(45.72m)飛ばした時、お父さんに「50ヤード飛んだよ!」とメールして2人で喜んだのを今でも覚えています。子どもながらに芯に当たった感触がすごくうれしくて、「これがゴルフなんだ!」と感じた瞬間でした。


中学校に入学する頃には、週末はお父さんとゴルフ場に行ってスコアを競い合うことが日々の活力になっていました。飽きることはなかったですね。


ゴルフのスイングを披露する山内鈴蘭さん




ゴルフ部の廃部、ライバルとの実力差。挫折ばかりだった中学生時代

――プロゴルファーを目指そうと思った時期はあったのでしょうか。


ありました。中学1年生から中学2年生の時期でしたね。


実は、プロゴルファーを目指すためにゴルフ部がある中学校を選んだのですが、私が入学した時に廃部になってしまったんです。同世代の子たちと競い合うことを楽しみにしていたから、ものすごくショックでした。だから、プロゴルファーを目指していた時期は、毎日学校が終わったら自転車でゴルフ場に行って、夜の9時まで練習してから家に帰るという生活をしていました。


山内鈴蘭さんのゴルフスイング(後ろからの様子)


山内鈴蘭さんのゴルフスイング(後ろからの様子)


当時は遊んでいる時間の分だけライバルたちと差ができてしまうと思って、放課後は友達とも遊びに行きませんでした。「ゴルフのことしか考えちゃいけない」と思い込んでいましたね。そんな生活を1年半続けていたある日、初めてジュニアの大会に出場したのですが、自分よりも年下の子たちが自分よりも良いスコアで回っているのを目の当たりにしたんです。「本当に厳しい世界なんだ」ということを実感して、ゴルフをやめようかと思うくらいの挫折を味わいました。


今思い返すと、プロゴルファーを目指していた時期はかなり過酷でしたね。レッスンを受けると「ほかの子はできているのに、なんであなたはうまくならないの?」と言われるくらい常に比べられる世界だったので、自分が分からなくなることも多かったです。


けれど、そんな環境だったから「自分にしかない長所を探すことが大事なんだな」と気づくことができました。短所を克服するのは難しいですし、長所を伸ばした方が気持ちも楽ですから。だから、どんなに叱られてもゴルフを続けられたんだと思います。




芸能界に導いてくれた「憧れの人の言葉」

――14歳の時にAKB48に入りましたが、アイドルや芸能界にはもともと興味があったのでしょうか。


いえ、芸能界に興味があったわけではないのですが、ジュニアの大会に出場した後、このままゴルフを続けるのか、それともほかの道を探すのかすごく悩みました。その時にAKB48の楽曲を聴いて、ものすごく明るい気持ちになったんです。「人を明るい気持ちにさせてくれるAKB48ってすごいな」と思って調べたら、ちょうど9期生のオーディションをやっていました。


同じ頃、テレビドラマの撮影現場を見学させていただいたんです。叔父がカメラマンをやっていて、ちょうど「ハケンの品格」(日本テレビ系)というテレビドラマを担当していました。私がゴルフで挫折して相当落ち込んでいたのを気にしてくれたのか、「ドラマの撮影現場に遊びにおいでよ」と誘ってくれたんですね。


私、主演の篠原涼子さんが本当に大好きで、釘付けになって見ていたら、篠原さんが「いい目してるね。芸能界においでよ」と言ってくださったんです。その一言がきっかけで「AKB48のオーディションを受けよう」って思いました。


芸能界に入ったきっかけについて話す山内鈴蘭さん


――AKB48としてデビューしてからもゴルフはずっと続けていたと思うのですが、アイドルとしての活動とゴルフを両立させるためにどのようなことを心がけていたのでしょうか?


高校時代はアイドル、ゴルフ、学業の3つをやっていく必要があったので、ゴルフに行く時の移動時間にダンスの振り付けを覚えたり、AKB48の活動で新幹線で移動する時に学校の課題をやるという感じで、「隙間の時間で何ができるか」はすごく考えていました。


あと、一見無関係な出来事一つ一つの中に共通点を見つけて楽しんでいました。例えば、AKB48の振り付けや楽曲を覚える時に「この楽曲のリズムはゴルフにも生かせるかもしれない」という風に共通点を見つけることで、アイドル、ゴルフ、学業それぞれに生かせるものを日々探して楽しんでいましたね。


アイドルとして活動していると学校に行けないことが多かったので、進級するために300枚くらいあるレポートを終わらせるということを年に1回やっていました。それも新幹線の中とか、飛行機の中といった隙間時間を使って、1日のスケジュールのうち、何を何時までに終わらせればいいのかを考えていました。


――無駄な時間ができないように、1日のスケジュールを組み立てていたんですね。


せっかちな性格なので、無駄な時間が嫌いなんです。今でも仕事が終わった後はすぐに帰っちゃうので、マネージャーさんから「帰るのいつも早いな!」って言われています(笑)。


――AKB48やSKE48時代の仲間など、山内さんの影響でゴルフを始めた方はいらっしゃいますか。


けっこういます! 例えば、AKB48の同期だと永尾まりやちゃんや島崎遥香ちゃん、SKE48だと松村香織ちゃんが「ゴルフをやりたいけど、何から始めたらいいの?」と聞いてくれましたね。ほかにも、大島優子さんが「ゴルフ教えてよ!」と言ってくださったり、柏木由紀さんはゴルフ番組に出演した時に教えたりする機会もありました。


「同じ女の子だから、女の子ならではの感覚で教えてくれてすごい助かる」と言ってくれたりして、メンバーがゴルフを始める時は頼ってくれるのがうれしいですね。


AKB48やSKE48時代の仲間とのゴルフのアドバイスをした様子を話す山内鈴蘭さん




アイドル業界とゴルフ業界の架け橋になる

――2021年にSKE48を卒業しましたが、いつ頃から卒業後のことを意識し始めたのでしょうか?


卒業する5年くらい前から意識していましたね。当時の私は「卒業した後の目標を立てないと今やっていることの意味がないな」と考えていました。じゃあ自分ができることは何だろう? と考えた時に、ゴルフ業界からアイドルに興味を持ってくれる人を増やしたり、アイドルのファンからゴルフに興味を持ってくれる人を増やす、という架け橋のような存在になりたいなと思ったんです。それで、メンバーにゴルフを教えるイベントなど、さまざまなイベントをSKE48時代から積極的にやっていました。


その頃に開催したイベントで、私をきっかけにゴルフを始めてくださった方がたくさんいることを知ったんです。ゴルフを始めてくれた方たちが交流できるコミュニティをつくりたい。同じウェアを着た仲間同士になってほしい。そんな気持ちを込めて、SKE48在籍時にゴルフブランド「Gorurun(ごるらん)」を立ち上げました。


「Gorurun」のゴルフウェア


「Gorurun」のゴルフウェア山内さんがプロデュースする「Gorurun」のゴルフウェア。今回の取材場所であるインドアゴルフスタジオ「Choco(チョコ)」の入口にも並べられている


SKE48の卒業を決意したのは、ティーチングプロの資格を取りたいと思ったことがきっかけでした。私をきっかけにゴルフを始めてくれたのはいいけれど、その人がうまくなるために教えることができないのが、ずっともどかしくて。ティーチングプロの資格を取ることで、ゴルフを始めてくれた方を教えることができるし、ゴルフライフを豊かにするためのお手伝いをすることができるって思ったんです。アイドルとして活動していると、ティーチングプロの試験を真剣に受けることができない。そう思って、卒業を決意しました。


卒業直後の2022年に受けたティーチングプロの試験は落ちてしまったのですが、アマチュアの競技に挑戦して胸を張れるようなスコアを出せるようになったら、もう一度挑戦したいなと考えています。




みんなが「ただいま」と言って立ち寄ってくれる場所をつくりたい

――「Gorurun」のほかにも、インドアゴルフスタジオ 「Choco (チョコ)」やイタリアンレストラン「Bel e Moco(ベルエモコ)」をプロデュースしています。これらはどのようなきっかけでプロデュースするに至ったのでしょうか。


「Choco」は自分がティーチングプロになった時に教えることができる場所、そしてゴルフ仲間が自然に集まれるような場所をつくりたいと思ってプロデュースしました。より本番に近い環境で練習できるようにしたいと考えて、リアルな映像で日本全国・世界各国のゴルフ場の雰囲気を楽しめて、ボールがある場所に合わせて傾斜も再現してくれる「GOLFZON」というシステムを使用しています。


「Bel e Moco」はすごく安易な考えなんですが......私、本当に食べるのが大好きなんです(笑)。ゴルフ場は日本全国・世界各国にありますし、各地域に美味しいものがいっぱいあります。ゴルフとごはんって切っても切れない関係だと思うんですよね。ゴルフが終わった後の食事会って本当に楽しいので、その時間を仲間たちとずっと楽しみたいと思ったのがきっかけです。


イタリアンレストランにしたのは、イタリア料理は食材そのものを生かした料理が多いと感じたからです。ゴルフと一緒に、食材そのものの美味しさを楽しめる場所になればいいなと思ってプロデュースしました。ゴルフ場の帰りに「ただいま!」と立ち寄ってくれるようなインドアゴルフスタジオとレストランにしたいですね。


インドアゴルフスタジオ「Choco」とイタリアンレストラン「Bel e Moco」の外観インドアゴルフスタジオ「Choco」とイタリアンレストラン「Bel e Moco」





人との出会いと競技を通じて自分の魅力が上がることを楽しんでほしい

――これまでのゴルフプレーの中で印象的な場面はありましたか?


2023年の6月にベストスコア「75」を出した時ですね。その頃はゴルフだけでなく日常もイメージ通りに物事が進まなかった時期で、その日のゴルフも「うまくいかなさそうだな」と思っていたんです。ですが、いざスタートしたらボールが林の方面に行ったのに木に当たってフェアウェイに戻ってきたり、普段だったら絶対に入らないバンカーショットがカップに入ったり、池の方向に行ってしまったボールが水面を跳ねてフェアウェイに戻ったり、という感じで、ミスショットがことごとくミラクルショットになったんです。


ゴルフでは、全部のショットがイメージ通りにいくことはまずありません。でもその時はミスをカバーしてくれるミラクルショットが続いてくれて、背中を押してくれるような気持ちになりました。イメージ通りに物事が進んでいなかった分、ゴルフの神様がプレーの面で支えてくれたのかな。


――山内さんが考える「ゴルフの一番の魅力」は何ですか。


人との出会いによって、自分自身を知っていくことだと思います。ゴルフを始めたことでさまざまな方と出会いましたが、その人たちと交流することで「自分はどういう人間なのか」を教えてもらっている感覚です。


ゴルフは気遣いやマナーを大事にするスポーツなので、周りの人たちといる時間をどうやって大切にするか、をすごく考えさせてくれるんです。気遣いやマナーを通して、自分自身の人間としての魅力を上げてくれる。ゴルフというスポーツには、そんな素敵な魅力があると思います。




ゴルフ業界や芸能界において、唯一無二の存在になりたい


――今後はどのような活動をしていきたいですか。具体的な計画や夢がありましたら教えてください。


ゴルフ業界や芸能界において、唯一無二の存在になりたいなと思っています。アパレルブランドを展開して、ゴルフスタジオやレストランを運営している自分も大事にしつつ、アマチュアの競技で優勝できるくらいの実力を付けたいです。どんなにいいことを言っても、結果を残さないかぎり自分の言葉に意味はありません。だからこそ、思いを言葉にして実行することを大切にしています。


あとは、35歳までにティーチングプロになって子どもたちに教えられる環境を整えて、40歳までには自分のジュニア塾を持っていたいなと考えています。今は初心者の方たちを対象にしたバスツアーを企画しているんですが、新しいイベントをどんどん作って、ゴルフというスポーツをもっと身近に感じてもらえるように活動したいですね。


――最後に、「ゴルフを始めるのはハードルが高い」「お金がかかる」といったイメージを持たれている方に向けて伝えたい「ゴルフを気軽に始められる方法」はありますか。


「ゴルフと食事」とか「ゴルフとサウナ」とか、自分の好きなことのついでにゴルフをする、という感覚で始めるのはいかがでしょうか。例えば、「Choco」は「Bel e Moco」に併設しているので、食事のついでにフラッと立ち寄ってみても面白いと思います。ゴルフ場も3,000円程度で18ホール回れる所がありますし、レンタカー付きのゴルフパック旅行もあります。さまざまな選択肢があるので、自分に合ったものを見つけるのも楽しいですよ。


あと、ゴルフ場で食べるカレーが美味しいので、全国各地のゴルフ場のカレーを食べ比べるのもおすすめです(笑)。


屋外での写真撮影に応じる山内鈴蘭さん


――本日はお忙しい中、ありがとうございました。今後のご活躍を楽しみにしています。


ヘアメイク:林田 凛
衣装:Gorurun


【取材協力】
インドアゴルフスタジオ Choco


インドアゴルフスタジオ Chocoのロゴ


※記事の情報は2024年6月25日時点のものです。

  • プロフィール画像 山内鈴蘭さん タレント〈インタビュー〉

    【PROFILE】

    山内鈴蘭(やまうち・すずらん)
    1994年12月8日生まれ、千葉県出身。2009年9月にAKB48 9期生オーディションに合格し、芸能界デビュー。2014年4月からはSKE48のメンバーとして活動し、2021年11月に同グループを卒業。卒業後はSKE48在籍時から始動したゴルフアパレルブランド「Gorurun」をはじめ、インドアゴルフスタジオ「Choco」や、イタリアンレストラン「Bel e Moco」のプロデュース、YouTubeチャンネル「鈴蘭ゴルフチャンネル」での動画配信など、ゴルフの魅力をさまざまな角度から発信している。

    X(旧Twitter)
    https://twitter.com/suzuranchan1208

    Instagram
    https://www.instagram.com/xxsuzuranxx/

    YouTube「鈴蘭ゴルフチャンネル」
    https://www.youtube.com/%40suzuran_yamauchi

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