寒い冬に! 座ったまま自律神経を整えるストレッチ<基本&からだ温め編>

FEB 27, 2024

石井正則 寒い冬に! 座ったまま自律神経を整えるストレッチ<基本&からだ温め編>

FEB 27, 2024

石井正則 寒い冬に! 座ったまま自律神経を整えるストレッチ<基本&からだ温め編> JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長の石井正則先生。医学博士であり、ヨガのインストラクターでもある石井先生が提唱するのが、「自律神経のパワーを上げる」「からだを変える」をテーマにした「筋膜プリプリ体操」です。冷えやコリなど、寒さによるさまざまな不調が見られる2月。「筋膜プリプリ体操」の、自律神経のパワーをアップする基本の動きと、からだを温めて不調を改善する動きを教えてもらいました。

2月の筋膜プリプリ体操「基本&からだ温め編」

寒さで縮こまったからだを温めて、スッキリ伸ばしたい方におすすめの動きを3つ紹介します。「耳ねじり」「両手上げねじり」「大またわき伸ばし」です。行うのは1日5分、朝昼夜いつでも構いません。この動きを続ければ、からだの変化が実感できるはず。普段あまり運動をしない方や、運動初心者の方でも気軽にできるストレッチです。


行う前の注意事項と動画の見方

  • ポーズは「痛きもちいい」くらいのところで止めましょう。無理は禁物です!
  • 1ポーズにつき「20秒キープ」を目安にしていますが、20秒が難しい方はできる範囲で構いません。最初は難しくても徐々にできるようになります。
  • 呼吸がとても大切です。呼吸は止めないように意識しましょう。
  • はじめに各ポーズを、石井先生の解説付き動画を見てやってみましょう。各ポーズの動きを理解して慣れてきたら、記事後半にある通し動画に合わせてやってみてください。




①耳ねじり

耳の周りには筋膜が集中しているので、からだと同じようにねじることで運動と同じような効果を得ることができます。耳の上部をねじると手足、真ん中だと体幹深部、下方の耳たぶだと下半身と、ねじる位置によって温かくなる部分が異なることがあります。




②両手上げねじり

肩から腕の筋膜をほぐす動きです。肩こりや腕の疲れに効果があります。




③大またわき伸ばし

股関節まわりの筋膜を刺激し、脚のむくみや腰痛を解消することができます。




■「基本&からだ温め編」通し動画

「耳ねじり」「両手上げねじり」「大またわき伸ばし」の通し動画です。1日5分、続けてみてください。




筋膜とは? 筋膜プリプリ体操とは?

「自律神経が元気になる 30秒筋膜プリプリ体操」(石井正則著、Gakken、2021年)より


そもそも筋膜って何?
筋膜とは、全身に張りめぐらされた網のようなもので、表皮の内側を構成するコラーゲン繊維やエラスチン繊維といったタンパク質、それらを生成する繊維芽細胞(せんいがさいぼう)などでできています。筋肉だけでなく内臓などともつながっていて、私たちの全身は筋膜でおおわれています。筋膜と筋膜の間や、皮膚と筋膜の間には、毛細血管やリンパ液が流れていて、うるおいが保たれています。このうるおいによって、筋膜は筋肉の動きに合わせてさまざまな方向に伸び縮みができるのです。


筋膜の衰えは全身の健康状態に影響を及ぼす
運動不足や加齢などで筋膜の表面の水分が失われ、硬くなったり縮んだりすると、筋肉の動き(滑走性)に制限がかかり、関節の可動域も狭くなります。骨格のゆがみや、全身の健康状態に影響を及ぼす場合もあります。


筋膜を伸ばすとなぜ自律神経が元気になるの?
自律神経とは、意思とは関係のないところで働く神経のことで、呼吸や体温、血圧、心拍、消化、代謝、排尿・排便など、生命活動を維持するため休むことなく働き続けています。不調のないからだをキープするためには、自律神経を活性化させることが重要です。


自律神経は交感神経と副交感神経に分けられます。交感神経と副交感神経はどちらか一方が働くわけではなく、バリバリ活動している時は交感神経が活発になり、リラックスしている時は副交感神経が優位になるなど、日常生活に合わせて切り替えながら、両方とも高いレベルで働いている状態が理想です。


筋膜をねじってさまざまな方向に伸ばすと、交感神経が刺激されます。交感神経を活発にし自律神経全体の働きを高めたあと、ゆっくりとからだの緊張を緩め、脱力していくと副交感神経が高まります。交感神経、副交感神経の両方が、よく働くようになることで自律神経が元気になります。


筋膜をねじることで、ぞうきんを絞った時のように筋膜の表面にリンパ液がにじみ出てきます。筋膜の主成分はコラーゲン。うるおいを得れば、柔らかく張りが出て「プリプリ」になります。筋肉や内臓の動きが活発になり、それによりからだの動きそのものがスムーズになって、自律神経のバランスも整うので、さまざまな不調の改善が期待できるのです。


※記事の情報は2024年2月27日時点のものです。

  • プロフィール画像 石井正則

    【PROFILE】

    石井正則(いしい・まさのり)
    JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長。医学博士。日本耳鼻咽喉科学会代議員、宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙飛行士医学審査会委員。東京慈恵会医科大学、同大学院卒業後、アメリカのヒューストン・ベイラー医科大学に留学。ヨガインストラクターの資格も持ち、数々のセミナーでも指導。めまい・耳鳴りなどや自律神経系の名医として「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)「あさイチ」(NHK総合)などのTV番組、ラジオ、新聞でも活躍。著書は「ストレスマネジメントで めまい・耳鳴り・難聴を自分で治す本」(二見書房)、「自律神経が元気になる 30秒筋膜プリプリ体操」(Gakken)など多数。

連載/まとめ記事

注目キーワード

人物名インデックス

最新の記事

公開日順に読む

ページトップ