【連載】新しい扉を開く“ひとりホテルステイ”
2023.10.24
まろ
本を読むために泊まりたいホテルたち。書店員さんによる"選書プラン"も!
いつもと違う空間で読書をするためにホテルに泊まる――。おひとりプロデューサーとして活躍するまろさんに、「おひとりさま」で過ごすのにぴったりなホテルを教えていただく連載「新しい扉を開く"ひとりホテルステイ"」。最終回となる今回のテーマは「本を読むために泊まりたいホテル」です。
こんにちは! ひとり時間の過ごし方を提案する「おひとりさま。」というメディアを運営している、まろです。この連載では、ひとりステイを通して"新しい扉"が開くような国内のホテルを、テーマ別にまとめて紹介しています。ラストの第3回は、読書の秋ということで「本を読むために泊まりたいホテルたち」です。
ひとり時間で読書する方は結構いると思うのですが、ホテルでそれをやると、素敵な空間だからこそ高揚感があったり、いつも以上に集中してのめり込めたりして、とても良いんです! 今回は、私が読書するために泊まりに行ったホテルをいくつか紹介できればと思います。
文豪たちに愛され続ける、丘の上にたたずむクラシカルなホテル「山の上ホテル」
東京・御茶ノ水にある「山の上ホテル」。坂を上がって、丘の上にひっそりたたずんでおり、東京とは思えない静けさに包まれています。開業は1954年。以来、川端康成氏、三島由紀夫氏、池波正太郎氏をはじめ数多くの作家に愛されたホテルとして名高く、今も文化人を魅了し続けています。
ひとたびロビーに足を踏み入れると、幾何学モチーフや直線、波線形が多用されたアールデコ調のデザインが目を引きます。客室に続く、なんとも上品で美しい螺旋階段にはうっとり。階段のタイルなど、随所に散りばめられた意匠も見逃せません。
お部屋は、わずか35室。ひとつとして同じレイアウトはなく、どれも個性を放っています。
私のおすすめは、「デラックスシングル・ダブル(洋室)」のお部屋。窓一面に広がる木々を眺めながら、椅子に腰掛けて、ゆったり読書する時間がなんとも心地よいのです。本当に静かで、とても集中できます。
畳の上にベッドという和洋折衷のしつらえが独特で、魅力的な「デラックスシングル・ダブル(和室)」もおすすめ。作家の池波正太郎氏が気に入って指定していたという401号室も、こちらのタイプのお部屋です。この机で、池波先生の本を読みながら、想いをはせるのも良いですね。
また、山の上ホテルには飲食店が7つも入っており、本を片手にお食事を楽しむこともできます。中でも、夜に小さな英国風バー「バーノンノン」で、"文化人気分"でカクテルをいただきながら読書するのはかなりテンション上がりますよ! たまには、かっこつけちゃいましょう。笑
ちなみに、山の上ホテルのすぐそばに、神保町の古本屋街があるので、お気に入りの一冊を見つけてからチェックインするのもおすすめです!
"森の隠れ家リゾート"で、癒やしの読書ステイ「箱根リトリートfore by 温故知新」
仙石原の広大な森に囲まれた宿泊施設「箱根リトリートfore(フォーレ) by 温故知新」。実はこちらが、初めて本を読むことを目的に行ったホテルです。
まず一目ぼれしたのが、ハリウッドツインタイプで独り占めできる、窓一面の緑の景色。この部屋で読書できたらどんなに幸せだろうと思ったのです。当日は雨が降っていたのですが、雨音と、雨が降ることで濃くなる緑がとても美しくて、ほれぼれしてしまいました。雨も楽しめるホテルステイって最高ですよね!
そして、レセプション棟1階にある「cafe & lounge」では、宿泊者であれば滞在中ずっと無料でドリンクを楽しめるという素晴らしい特典が! 挽きたてのコーヒー片手に延々と読書できちゃうわけです。最高。
もちろんこのラウンジでくつろぐことも可能ですし、「free bird & テラス」などパブリックスペースも充実しているので、気分を変えて、お部屋以外で読書を楽しむこともできます。
そして、なんと、深緑に包まれた半露天のお風呂もあるのです! 内湯は温泉で、共に総ひのきの浴室となっていて、ゆっくり浸かってリラックスできます。ひとりだからこそ、自由に温泉を行き来しながら、読書できてとても良かったです。
ちなみに、秋冬はこちらの暖炉があるお部屋「デラックスダブル【薪ストーブ付】」もおすすめ。揺らぐ炎に癒やされながら、素敵な読書タイムを過ごすことができます。
選書付きプランで、私のために選ばれた本と過ごせる「ホテルエディット横濱」
JR・横浜市営地下鉄の桜木町駅から徒歩3分と、好立地の「ホテルエディット横濱」。私が大好きなUDSグループのホテルです!
「自分らしい旅を編集する」がテーマのホテルで、ビジネスシーンでも、観光でも、それぞれのスタイルに合わせて利用できます。今回紹介する「選書付き宿泊プラン」も、まさにその世界観を体現していて、有隣堂が展開する複合型書店「STORY STORY YOKOHAMA」の書店員さんが、自分のために選んでくれた本を滞在中に楽しむことができるんです。
プランを予約する際に、「興味のあるジャンル」「お気に入りの作家さん」など、本にまつわる"カルテ"を記入して、それをもとに書店員さんが選書してくれるというシステムになっています。
面白いのは、選書のリクエストについて、「自分の興味にある程度沿った方が良い」「普段選ばない本が良い」「その両方」と選択できること。私は「その両方」にしてみたのですが、これがすごく良くて。普段選ばないけど、「わ、面白い!」と思う本と出合うことができました。
おすすめのお部屋は、2面の窓から日差しがたっぷり差し込む"コーナーダブル"のお部屋。港町の横浜からインスピレーションを受けて、"船室"をイメージしているそうで、マリンテイストな雰囲気となっています。こういう素敵な空間だと、読書がはかどるんですよね~。
しかも、気に入った本は、その場で購入も可能! 私はいくつか本を購入して、チェックアウト後に、近くのお気に入りの喫茶店「馬車道十番館 喫茶室」でも少し読書して、帰路につきました。
いやあ~書きながら、改めてめちゃくちゃ良いプランですね。また行きたくなりました。
お家でゆっくり読書もいいですが、たまには近場のホテルで読書をしてみると、良い気分転換になるかもしれません。ぜひ、読書目的のひとりホテルステイ、試してみてください!
ひとりホテルステイの形は十人十色
短期連載「新しい扉を開く"ひとりホテルステイ"」、いかがでしたか?
今まで、他の記事では1つのホテルをじっくり紹介するスタイルが多かったのですが、この連載ではいろんな切り口でホテルを紹介できて、私自身とても楽しかったです。
改めて見ても、ホテルの幅の広さに驚かされますね......! これこそホテルの素晴らしさであり、同じホテルであっても、過ごし方は人それぞれだから面白いと思っています。
ひとりステイだとなおさら、誰の目も気にする必要がないからこそ、その人のスタイルがより強く出るのかなと。私もこうして、自分のお気に入りのホテルを紹介してきましたが、結局は皆さんがそれぞれ「これだ!」というホテルを見つけて、思い思いに滞在するのが一番だと思っています。
今まで読んでいただきありがとうございました! それでは、良いひとりホテルステイを。
※記事の情報は2023年10月24日時点のものです。
※山の上ホテルは、2024年2月13日より当面の間、休館する事が発表されました。
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【PROFILE】
まろ
おひとりプロデューサー。ひとり時間の楽しい過ごし方を提案するメディア「おひとりさま。」をInstagram(@ohitorigram)中心に運営。Instagramのフォロワーは6万人超 (2023年10月現在)。 自身が原案のマンガ「おひとりさまホテル」(漫画:マキヒロチ氏)のコミックス第2巻が発売中。「Hanako.tokyo」での「まろが行く。ひとりホテルのすゝめ」(https://hanako.tokyo/tags/maro-hotel-alone/)連載など執筆活動を行うほか、ホテルなどとコラボして、おひとりさま向けプランの企画・プロデュースも手掛ける。2023年7月には"ひとり時間をみんなでつくる"会員制コミュニティー「おひとりくらぶ。」をオープン。
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