ビーチバレーボール観戦の楽しみ方

JUL 21, 2021

ビーチバレーボール選手:宮川紗麻亜 ビーチバレーボール観戦の楽しみ方

JUL 21, 2021

ビーチバレーボール選手:宮川紗麻亜 ビーチバレーボール観戦の楽しみ方 ビーチバレーボール選手、宮川紗麻亜さんによる連載です。今回はインドアのバレーボールとビーチバレーボールのルールの違いや見どころ、観戦する際のポイントなどを解説いただきました。あまりルールを知らない方でも、これだけ知っておけば大丈夫!2021年夏本番、ビーチで活躍する選手たちをぜひ応援してください。

皆様いかがお過ごしでしょうか。
連載4回目のテーマは「ビーチバレーボール観戦の楽しみ方」についてです。


通常であれば、この時期はビーチバレーボールもシーズン真っただ中となりますが、新型コロナウイルスの影響により今年も予定試合が少なく、今後開催予定の試合も無観客になる可能性もあります。一選手としては応援してくださる皆様と会場で会いたい気持ちはもちろんありますが、まだ我慢のときですね。でも、会場に来られなくても選手たちには皆様の応援は届いていますよ。


そして、こんなタイミングだからこそYouTubeなどの映像なら観たい、もしくは観たよ! という方々も増えているかもしれません。ですのでこの機会に、「ビーチバレーボールってあまり分からないなぁ......」という方に向けて、「ビーチバレーボール観戦の楽しみ方」を少しご紹介したいと思います。映像を通してビーチバレーボールに興味を持ってくれる方々が増え、新型コロナウイルスが落ち着いた後に会場へ足を運んでくださったらうれしいです。




ビーチバレーボールのイメージって?

さて、皆様はビーチバレーボールと聞くとどんなイメージをお持ちでしょうか?
ビーチバレーボールを始める前の私の場合は、水着になってバレーボールをする! そして日焼けができる......!という、とても単純なイメージでした(笑)。


この記事を書く前に、ビーチバレーボールをしたことがない身近な方々にイメージを聞いてみたところ、「砂の上で運動するなんてすごい」、「暑そう」、「2人だから簡単にボールが落ちちゃいそう」、「水着が小さい(!)」......とさまざまなイメージがある様でした。なかなかこうして聞く機会もなかったので、改めていろんな意見が聞けて面白かったです。


インドアバレーボールとビーチバレーボールは似ているようで、違う競技とも捉えられます。自分のコートにボールを落とさないこと、ボールをコントロールするなどの点は同じですが、実際にやってみると分かりますが、結構違う競技だったりもします。




風向きを確認する動きや、サインにも注目

インドアのバレーボールとビーチバレーボール。大まかな違いとしてあげられるのは6人制と2人制、場所が体育館(屋内)かビーチ(屋外)かという点です。体育館といっても天井の高さや広さ、照明等でパフォーマンスが変わる場合もありますが、ビーチバレーボールはもっと顕著に外的要因の影響を受けます。風向きは試合の途中でも容赦なく変化し、ずっと同じ方向に吹いていれば分かりやすいのですが、そうもいきません。使用するボールにも違いがあり、ビーチバレーボールで使うボールは内気圧が低く設定されているので、風の影響を受けやすくなっています。もちろん無風の時もあります。2度と同じ状況がないのが特徴的ですね。


砂も会場によって砂質が違ってくるので、必然的にジャンプや、走ることへの影響も出てきます。ビーチバレーボール選手はそういった外的環境に常に対応していかなくてはなりません。選手たちが砂を拾って落としたり、投げたり、蹴ったりしているシーンを見たことありますでしょうか?


あれは風がどの方向から吹いているのかを確認しています。ラリー中は砂を投げられないので、身体のどの部分に風が当たってるかを感じて風向きを確認したりもします。

実際に会場にいれば風を感じることができますが、リモートで観戦する場合は会場に立っている旗などで、どの方向から風が吹いているか、注意して観てみると面白いかもしれません。


砂を落として風向きを確認しています砂を落として風向きを確認しています


ほかにも、インドアのバレーボールとビーチバレーボールの違いといえばコートの広さです。インドアのバレーボールは片面が9×9m、ビーチバレーボールが8×8m。ネットの高さは同じで、男子が2.43m、女子が2.24mです。ポイントとゲーム数は違って、バレーボールは25点の5セットマッチですが、ビーチバレーボールは21点の3セットマッチ(3セット目は15点まで)で、7の倍数でコートスイッチを行います。またビーチバレーボールでは選手交代ができないので、試合中に負傷して試合続行不可能となった場合は棄権となります。一人ひとりの責任が大きいのもビーチバレ―ボールの特徴ですね。


技術的な違いでいうと、ビーチバレーボールでは指の腹を使った攻撃であるフェイントがNGで、スパイクを打つ以外の攻撃として、「ポーキー」や「コブラ」といった技があります。ポーキーは曲げた状態の指の背中側を使ったプレーで、コブラは指先を使ってボールをコントロールするプレーです。またインドアのバレーボールではブロックはプレーカウントに入りませんが、ビーチバレーボールはブロックも1回にカウントされるため、残り2回以内で相手のコートにボールを返す必要があります。


曲げた指の背中でボールをコントロールするポーキー曲げた指の背中でボールをコントロールするポーキー


オーバーハンドパスにおいても幾つか制限があります。スパイク(強打)とは違って、ショットと呼ばれる軌道が緩やかなボールに対してはオーバーハンドで受けると反則になります。その際は、両手を組むかポーキーで受けるようにします。


また、選手が後ろに手を回して指を使って味方に何かの合図を送ってるのを見たことはありますか? これをサインといいます。チームによっていろいろなサインを使い分けていますが、共通しているのは「1」と「2」です。基本的に「1」のサインはストレートを守備、「2」のサインはクロス側を守備という意味合いがあり、右手のサインがレフト側からの攻撃に対する動き、左手のサインがライト側からの攻撃に対する動きになります。

左右で違う、下の写真のように右手が「2」で左手が「1」になっている場合、私(ブロッカー)は、レフト側の攻撃に対してクロスにブロック or フェイク(ブロックに飛ばすレシーブの位置に下がること)、ライト側の攻撃に対してはストレートにブロック or フェイクをします、というサインになります。ですのでレシーバーはその逆の守備をします。


基本的に「1」のサインはストレートを守備、「2」のサインはクロス側を守備という意味合いがあります


サーブを打つ時や、ラリー中の相手からの攻撃に対してサインを出しているので、相手の選手に対して、今この作戦なのね......と選手たちの考えを読みながら、動きに注目して観るのも面白いかも知れません。




選手の水着と同じカラーの応援グッズがうれしい!

最後は水着について。ビーチバレーボールといえば水着というイメージですが、ユニホームでもある水着にも注目して観るのも面白いですよ。実はビーチバレーボール選手が着ている水着は、選手自身の好きなカラーや、その年のテーマカラーやラッキーカラーなどを取り入れたりしてデザインしているんです。ですので、その点に注目して見ると選手の好みが分かったりしますよね。会場で応援ができる様になったら同じカラーのグッズを持っていくと、選手は自分の応援をしていただけているのかなぁ......とうれしくなると思います!


私も水着を作っていた年は、カラフルなデザインを考えたり、好きな海外選手が着ていた同じカラーの水着にしてみたりといろいろ楽しんでいました。この10年を通してヘアバンド率は高めですが、ハチマキをしていた年や、リボンをつけて試合をしていた年もありましたね。今思えばネタみたいになってますが、そのときは気に入ってつけていたんですよ(笑)。


リボンをつけて試合をしていた年もありましたね


ビーチバレーボールの会場は、音楽がかかってライブのような雰囲気でお酒を飲みながら観戦できるのも醍醐味だと思います。今の状況が落ち着いて、早く観戦できるようになってほしいですね。私も皆様と会場でお会いできるその日を楽しみにしております。では、また次回の連載でお会いしましょう。


※一部の写真は日本ビーチバレー連盟のFacebook(https://www.facebook.com/JBVpage/)よりお借りしました。


※記事の情報は2021年7月21日時点のものです。

  • プロフィール画像 ビーチバレーボール選手:宮川紗麻亜

    【PROFILE】

    宮川紗麻亜(みやがわ・さまあ)

    所属:フリー
    出身地:山梨県韮崎市
    生年月日:1983年8月17日
    身長:171cm
    利き手:右
    ホームビーチ:神奈川県・鵠沼海岸(くげぬまかいがん)
    経歴:
    韮崎小学校→韮崎東中学校→八王子実践高校→日本女子体育大学→GSSサンビームズ

    2011年 JBVツアー新人賞
    2013年 全日本メンバー登録
    2017年10月~12月 バレーボールフィリピンスーパーリーグに外国人選手として出場
    2018年 JBVツアー 第4戦 南あわじ・神戸淡路鳴門自動車道全通20周年記念大会 優勝
    2018年 FIVB WORLD TOUR 蔚山ジンハオープン 1☆ 4位
    2019年8月 スノーバレーボールワールドツアーアルゼンチン大会に日本代表として出場
    2020年 日本ランキング41位

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