2022夏の欧州ツアー奮戦記

坂口由里香のBeach Days

ビーチバレーボール選手:坂口由里香

2022夏の欧州ツアー奮戦記

国内個人ランキング3位*。坂口由里香さんはいま最も注目されているビーチバレーボール選手の一人です。世界を舞台に奮闘しながらパリ五輪を目指す坂口選手に、日々の練習やツアー先で体験したこと、また、坂口選手が実践しているビーガン食や、普段のフィジカルトレーニングについて「世界への挑戦!Beach Days」をつづっていきます。*2022年10月現在

今回は2022年6月21日~7月24日までの約5週間にわたる、欧州ツアー奮戦記です。ドイツから始まり、オランダ、フランス、ポルトガル、モロッコの順で試合や練習をこなしつつ移動していきました。


ドイツ、ポルトガルとモロッコでは試合に出場。フランス、オランダでは合宿練習を行いました。この合宿練習は、試合と試合の合間が1週間以上空く場合、どこかの国でその国の選手たちと一緒に練習をしたり、練習試合することをいうのですが、どこの国へ行くか、どの選手たちと練習するかなども含めた調整や交渉も、全部自分たちでやります。




唯一ごはんに不自由しないビーガン先進国ドイツ:6月21日~26日滞在

ドイツではハンブルグで行われた「キング・オブ・ザ・コート」というイベント形式の大会に出場。このキング・オブ・ザ・コートは、ウィナー側とチャレンジャー側に分けられ、ウィナー側でのみポイントを取得できる、という通常のビーチバレーとは違うルールで行われるイベントです。この大会では11位という結果に終わりましたが、実はドイツに来るのも、キング・オブ・ザ・コートに出場するのも初めてだったので、とても楽しかったです!


ペアの長谷川暁子選手(左)と坂口由里香選手(右)ペアの長谷川暁子選手(左)と坂口由里香選手(右)


ドイツといえば、皆さんご存知「ニベア」発祥の地でもあります。ショップへ行くと、街並みや星座が入ったオリジナルのデザイン缶がたくさんあるし、安いんですよ。日焼けすると肌が乾燥するので、ビーチバレー選手では使用している人も多いと思います。私も顔、体、髪の保湿に使っています。今回は、自分の星座のかに座缶を買っちゃいました。


ドイツといえば、皆さんご存知「ニベア」発祥の地


そしてもう1つドイツ発祥の有名なお菓子といえば、グミの「HARIBO(ハリボー)」です。たいていのホテルのフロントには、自由に持って帰ってOKなHARIBOが置かれていたりします。ドイツはビーガン*1先進国でもあるので、HARIBOにもビーガン対応のものがあります。チョコレートもビーガン対応の種類が豊富です。それが100円しないくらいで安い! 甘いもの好きなのでうれしいです。


*1 ビーガン:完全菜食主義者。肉や魚、卵、乳製品などの動物性食品を一切とらない人のこと。


たいていのホテルのフロントには、自由に持って帰ってOKなHARIBOが置かれていたりします


ドイツで食べたビーガンポキ丼は、ビーツエキスの入った赤いライスで、こんにゃくでできたビーガンサーモンが入っています。ドイツではふらっとカフェに入っても当たり前のようにビーガンメニューがあります。私は肉や卵を一切食べない、という完全なビーガンというわけではないのですが、体づくりのために普段からビーガン食を積極的に摂るようにしていますので、ドイツは今回のツアーで唯一ごはんに不自由しない国でした。


ビーガンポキ丼


あちこち落書きだらけのハンブルグの街あちこち落書きだらけのハンブルグの街




オランダのナショナルチームと合同練習:6月27日~7月3日滞在

2カ国目、オランダではハーグ(デン・ハーグ)でオランダのナショナルチームのメンバーと合宿練習を行いました。これは事前に決まっていたことではなく、前の週のドイツのキング・オブ・ザ・コートの会場で知り合ったオランダチームに自分たちから声をかけて、急遽参加させてもらいました。


冒頭でも少し言いましたが、練習も試合も誰かがブッキングしてくれるわけではないので、特に海外では自分たちから積極的にコミュニケーションをとらないといけません。でも、そのおかげでいろんな国の選手たちと友達になれます。


いろんな国の選手たちと友達になれます


オランダに滞在中、ホテルから練習場まで往復15分ほどトラムに乗っていました。地上を走るトラムは1日7ユーロで乗り放題(1回だと2ユーロ)。きちんと時間通りに来て便利です。


地上を走るトラムは1日7ユーロで乗り放題(1回だと2ユーロ)


オランダっぽい風景。運河沿いに家が並んでいます。最初はお店かと思っていたら、普通に人が住んでいる家で驚きました。みんな自転車に乗っていて、車があまり通っていないせいか、空気が澄んでいて、住みやすそうな印象。今まで行った国の中では一番良かったです。


オランダっぽい風景。運河沿いに家が並んでいます


オランダでは日本食屋さんに行って天丼を食べました(写真左)。これで3,000円くらいします......高い! でも日本の味はやっぱりおいしい。


写真右の「携帯おにぎり」はお湯を入れるだけでおにぎりができるという、アウトドア食品で有名な尾西食品さんのもの。商品を提供サポートいただいていますので、海外へ行く時はいつも何種類か持って行きます。時間はかかりますが、水でもできるので、試合前に水を入れて1時間後、試合が終わった後に食べることもあります。


日本食屋さんに行って天丼を食べました(写真左)




赤いレンガの街をフランスチームの案内でぶらぶら:7月4日~10日滞在

3カ国目。フランスのトゥールーズで合宿練習をしました。フランスチームも自国パリ五輪に向けてバリバリ強化中です。現状強さのレベルは日本と同じぐらいだと思います。トゥールーズは"赤いレンガの街"といわれているそうで、ぶらぶらと散策。オフの日にフランスチームのメンバーが案内してくれました。


トゥールーズは


クレープが大好きな街の人たち。街中にクレープ屋さんがあります。私はチョコクレープを食べましたが、おいしかったです。クリームやフルーツたっぷりの日本のクレープとは違って、ヌテラ*2とかピーナッツクリームとかシンプル系の味がスタンダードのようです。


*2 ヌテラ:ヘーゼルナッツペーストをベースに砂糖、カカオ、ミルク、レシチン、香料などの材料を混ぜ合わせた、チョコレート風味のスプレッド。イタリアのフェレロ社が発売。


チョコクレープを食べましたが、おいしかったです


フランスチームの選手と一緒に写真を撮りましたが、見てください、この脚の長さの違い(笑)。左がLezana Placette(レザナ・プラセッテ)選手で身長180㎝(24歳)、フランスの1番手の選手です。右がAlexia Richard(アレクシア・リチャード)選手で身長183㎝(26歳)。2人はペアを組んでいます。ちなみに私は165㎝。外国の選手と並ぶと、(嫌味ではなく)からかわれて、盛り上がることも多いです。


フランスチームの選手と一緒に写真を撮りましたが、見てください、この脚の長さの違い(笑)


4カ国目はポルトガル(7月11日~17日滞在)で試合でしたが、ずっと天気が悪かった上に、試合も予選敗退と良い結果が残せませんでした。写真をぜんぜん撮っておらず記憶も曖昧......ということで、次回行くことがあればリベンジしたいです。




28歳の誕生日を迎えたモロッコ。チームとしての成長も:7月18日~24日滞在

最後5カ国目はモロッコへ。マラケシュから車で3時間ぐらい行った所の街で試合がありました。この大会で初めて予選を突破! トーナメントグループ戦に進みました。結果は19位敗退でしたが、チームとしては一歩前進。壁を越えて、成長を感じられた瞬間でした。


モロッコではタジン鍋を初めて食べました


モロッコではタジン鍋を初めて食べました。入っている具を指して「これは豆?」と、お店の人に何度も確認して、Google翻訳でも確認したのにラム肉だったというオチ。豆は入っていませんでした。肉が食べられないわけじゃないから食べてしまいましたが、自分の中でここはハズレのタジン鍋屋さんに。


食後に試合会場横のカフェでミントティーをいただきました。巨大な砂糖にびっくり。モロッコではミントティーに砂糖を入れるのが一般的な飲み方のようで、最初は勧められるままに砂糖を入れてみましたが、甘過ぎたので翌日以降は断りました。


試合会場横のカフェでミントティーをいただきました


そして、モロッコ滞在中に28歳の誕生日を迎えました。誕生日は7月20日で、試合の前日だったので、試合が終わった後に日本チームでお祝いしていただきました。28歳は色気のある大人の女性を目指します!


モロッコ滞在中に28歳の誕生日を迎えました


夏の欧州ツアーはこのモロッコを最後に帰国して、日本で試合に出場したり、その後また海外遠征へ出かけたりと慌ただしくしています。また次回お会いしましょう!


※記事の情報は2022年11月15日時点のものです。

  • プロフィール画像 ビーチバレーボール選手:坂口由里香

    【PROFILE】

    坂口由里香(さかぐち・ゆりか)
    小学3年生からインドアのバレーボールを始め、中学3年生で神奈川県代表選手に選出。高校3年生で神奈川県ベスト4入り、ビーチバレーはマドンナカップの神奈川県予選で優勝、全国大会で5位入賞。その後、2014年国内ツアー入賞をきっかけに本格的にビーチで活動、2018シーズンはビーチバレージャパンで決勝進出、2021年の国内ツアーでは優勝3回、準優勝1回、3位1回、2022年は開幕戦から国内で出場した大会は全て優勝し、9月の女子アジア選手権では5位入賞、10月のBeach Pro Tour モルディブ大会でも5位入賞した。勝負強さ、安定したパス、攻撃のバリエーションで、次代を担っていくプレーヤーとして注目される。

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