坂口由里香のBeach Days
2022.11.15
ビーチバレーボール選手:坂口由里香
2022夏の欧州ツアー奮戦記
国内個人ランキング3位*。坂口由里香さんはいま最も注目されているビーチバレーボール選手の一人です。世界を舞台に奮闘しながらパリ五輪を目指す坂口選手に、日々の練習やツアー先で体験したこと、また、坂口選手が実践しているビーガン食や、普段のフィジカルトレーニングについて「世界への挑戦!Beach Days」をつづっていきます。*2022年10月現在
今回は2022年6月21日~7月24日までの約5週間にわたる、欧州ツアー奮戦記です。ドイツから始まり、オランダ、フランス、ポルトガル、モロッコの順で試合や練習をこなしつつ移動していきました。
ドイツ、ポルトガルとモロッコでは試合に出場。フランス、オランダでは合宿練習を行いました。この合宿練習は、試合と試合の合間が1週間以上空く場合、どこかの国でその国の選手たちと一緒に練習をしたり、練習試合することをいうのですが、どこの国へ行くか、どの選手たちと練習するかなども含めた調整や交渉も、全部自分たちでやります。
唯一ごはんに不自由しないビーガン先進国ドイツ:6月21日~26日滞在
ドイツではハンブルグで行われた「キング・オブ・ザ・コート」というイベント形式の大会に出場。このキング・オブ・ザ・コートは、ウィナー側とチャレンジャー側に分けられ、ウィナー側でのみポイントを取得できる、という通常のビーチバレーとは違うルールで行われるイベントです。この大会では11位という結果に終わりましたが、実はドイツに来るのも、キング・オブ・ザ・コートに出場するのも初めてだったので、とても楽しかったです!
ドイツといえば、皆さんご存知「ニベア」発祥の地でもあります。ショップへ行くと、街並みや星座が入ったオリジナルのデザイン缶がたくさんあるし、安いんですよ。日焼けすると肌が乾燥するので、ビーチバレー選手では使用している人も多いと思います。私も顔、体、髪の保湿に使っています。今回は、自分の星座のかに座缶を買っちゃいました。
そしてもう1つドイツ発祥の有名なお菓子といえば、グミの「HARIBO(ハリボー)」です。たいていのホテルのフロントには、自由に持って帰ってOKなHARIBOが置かれていたりします。ドイツはビーガン*1先進国でもあるので、HARIBOにもビーガン対応のものがあります。チョコレートもビーガン対応の種類が豊富です。それが100円しないくらいで安い! 甘いもの好きなのでうれしいです。
*1 ビーガン:完全菜食主義者。肉や魚、卵、乳製品などの動物性食品を一切とらない人のこと。
ドイツで食べたビーガンポキ丼は、ビーツエキスの入った赤いライスで、こんにゃくでできたビーガンサーモンが入っています。ドイツではふらっとカフェに入っても当たり前のようにビーガンメニューがあります。私は肉や卵を一切食べない、という完全なビーガンというわけではないのですが、体づくりのために普段からビーガン食を積極的に摂るようにしていますので、ドイツは今回のツアーで唯一ごはんに不自由しない国でした。
オランダのナショナルチームと合同練習:6月27日~7月3日滞在
2カ国目、オランダではハーグ(デン・ハーグ)でオランダのナショナルチームのメンバーと合宿練習を行いました。これは事前に決まっていたことではなく、前の週のドイツのキング・オブ・ザ・コートの会場で知り合ったオランダチームに自分たちから声をかけて、急遽参加させてもらいました。
冒頭でも少し言いましたが、練習も試合も誰かがブッキングしてくれるわけではないので、特に海外では自分たちから積極的にコミュニケーションをとらないといけません。でも、そのおかげでいろんな国の選手たちと友達になれます。
オランダに滞在中、ホテルから練習場まで往復15分ほどトラムに乗っていました。地上を走るトラムは1日7ユーロで乗り放題(1回だと2ユーロ)。きちんと時間通りに来て便利です。
オランダっぽい風景。運河沿いに家が並んでいます。最初はお店かと思っていたら、普通に人が住んでいる家で驚きました。みんな自転車に乗っていて、車があまり通っていないせいか、空気が澄んでいて、住みやすそうな印象。今まで行った国の中では一番良かったです。
オランダでは日本食屋さんに行って天丼を食べました(写真左)。これで3,000円くらいします......高い! でも日本の味はやっぱりおいしい。
写真右の「携帯おにぎり」はお湯を入れるだけでおにぎりができるという、アウトドア食品で有名な尾西食品さんのもの。商品を提供サポートいただいていますので、海外へ行く時はいつも何種類か持って行きます。時間はかかりますが、水でもできるので、試合前に水を入れて1時間後、試合が終わった後に食べることもあります。
赤いレンガの街をフランスチームの案内でぶらぶら:7月4日~10日滞在
3カ国目。フランスのトゥールーズで合宿練習をしました。フランスチームも自国パリ五輪に向けてバリバリ強化中です。現状強さのレベルは日本と同じぐらいだと思います。トゥールーズは"赤いレンガの街"といわれているそうで、ぶらぶらと散策。オフの日にフランスチームのメンバーが案内してくれました。
クレープが大好きな街の人たち。街中にクレープ屋さんがあります。私はチョコクレープを食べましたが、おいしかったです。クリームやフルーツたっぷりの日本のクレープとは違って、ヌテラ*2とかピーナッツクリームとかシンプル系の味がスタンダードのようです。
*2 ヌテラ:ヘーゼルナッツペーストをベースに砂糖、カカオ、ミルク、レシチン、香料などの材料を混ぜ合わせた、チョコレート風味のスプレッド。イタリアのフェレロ社が発売。
フランスチームの選手と一緒に写真を撮りましたが、見てください、この脚の長さの違い(笑)。左がLezana Placette(レザナ・プラセッテ)選手で身長180㎝(24歳)、フランスの1番手の選手です。右がAlexia Richard(アレクシア・リチャード)選手で身長183㎝(26歳)。2人はペアを組んでいます。ちなみに私は165㎝。外国の選手と並ぶと、(嫌味ではなく)からかわれて、盛り上がることも多いです。
4カ国目はポルトガル(7月11日~17日滞在)で試合でしたが、ずっと天気が悪かった上に、試合も予選敗退と良い結果が残せませんでした。写真をぜんぜん撮っておらず記憶も曖昧......ということで、次回行くことがあればリベンジしたいです。
28歳の誕生日を迎えたモロッコ。チームとしての成長も:7月18日~24日滞在
最後5カ国目はモロッコへ。マラケシュから車で3時間ぐらい行った所の街で試合がありました。この大会で初めて予選を突破! トーナメントグループ戦に進みました。結果は19位敗退でしたが、チームとしては一歩前進。壁を越えて、成長を感じられた瞬間でした。
モロッコではタジン鍋を初めて食べました。入っている具を指して「これは豆?」と、お店の人に何度も確認して、Google翻訳でも確認したのにラム肉だったというオチ。豆は入っていませんでした。肉が食べられないわけじゃないから食べてしまいましたが、自分の中でここはハズレのタジン鍋屋さんに。
食後に試合会場横のカフェでミントティーをいただきました。巨大な砂糖にびっくり。モロッコではミントティーに砂糖を入れるのが一般的な飲み方のようで、最初は勧められるままに砂糖を入れてみましたが、甘過ぎたので翌日以降は断りました。
そして、モロッコ滞在中に28歳の誕生日を迎えました。誕生日は7月20日で、試合の前日だったので、試合が終わった後に日本チームでお祝いしていただきました。28歳は色気のある大人の女性を目指します!
夏の欧州ツアーはこのモロッコを最後に帰国して、日本で試合に出場したり、その後また海外遠征へ出かけたりと慌ただしくしています。また次回お会いしましょう!
※記事の情報は2022年11月15日時点のものです。
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【PROFILE】
坂口由里香(さかぐち・ゆりか)
小学3年生からインドアのバレーボールを始め、中学3年生で神奈川県代表選手に選出。高校3年生で神奈川県ベスト4入り、ビーチバレーはマドンナカップの神奈川県予選で優勝、全国大会で5位入賞。その後、2014年国内ツアー入賞をきっかけに本格的にビーチで活動、2018シーズンはビーチバレージャパンで決勝進出、2021年の国内ツアーでは優勝3回、準優勝1回、3位1回、2022年は開幕戦から国内で出場した大会は全て優勝し、9月の女子アジア選手権では5位入賞、10月のBeach Pro Tour モルディブ大会でも5位入賞した。勝負強さ、安定したパス、攻撃のバリエーションで、次代を担っていくプレーヤーとして注目される。
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